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三井物産テクノプロダクツ(株) 「PERTEX®」「PRIMALOFT®」
素材ブランドのイメージ確立を狙う

update: 2015/11/09

ブランドの世界観を 重視する発信を進めている

ブランドの世界観を
重視する発信を進めている

三井物産テクノプロダクツ(株)が展開する機能素材ブランド「PERTEX®」(パーテックス)と「PRIMALOFT®」(プリマロフト)。認知度の向上を狙い、“ブランド観の発信”を重視した提案に力を入れている。“素材ブランド”としてアパレルメーカーやエンドユーザーに広く認識してもらう目的がある。

世界規模で知名度アップを目指す

「PERTEX®」はナイロンの高密度織物を主体にしたテキスタイルブランドで、2005年に三井物産が買収後、国内外で拡販を進めている。「PRIMALOFT®」は米国・プリマロフト社が開発した合繊中綿素材で、アウトドア業界のみならずアパレルの中綿(インシュレーション)として広く使われている。日本国内では中綿を販売し、世界規模ではライセンス契約に基づき、「PRIMALOFT®」を使用した生地「PRIMALOFT® PERFORMANCE FABRIC」の拡販にも力を入れ始めた。

10月に開催された展示会では、新たに3つの素材がお目見えした。「PERTEX®」は、摩耗に強い「CS10」シリーズと、通気性のあるラミネーション素材「SHIELD AP」の2素材。「PRIMALOFT®」では、ライセンス展開する“生地”において、ポリエステルとウールをブレンドした「PERFORMANCE FABRIC」も企画した。

3シーズン前から、出展点数を減らして、ブランドの世界観を伝える展示会に仕様を変えている。「PERTEX®」と「PRIMALOFT®」という“素材ブランド”のイメージを演出し、来場者にその世界観を認識してもらうためである。

「PERTEX®」の業績は2014年度で42-43億円にまで拡大した。今期は50億円の大台に近付く見通しで、今後も開拓の余地があると見ている。一方、「PRIMALOFT®」は中綿が主体だったが、生地の展開が始まり、その伸び代に期待が掛かる。契約の関係で中綿ビジネスは国内に限定されているが、生地は全世界が対象。差別化、住み分けできる素材でもあり、また新規市場を開拓していける可能性もある。


特別レポート
三井物産テクノプロダクツ(株)
機能テキスタイル事業部
片岡 満丸(かたおか・みちまる)事業部長

コンセプトをしっかり発信したい

片岡満丸事業部長

片岡満丸事業部長

「PERTEX®」と「PRIMALOFT®」のビジネスで陣頭指揮を執る三井物産テクノプロダクツ(株) 機能テキスタイル事業部の片岡満丸 事業部長。主力の2つの生地ブランドの「コンセプトをしっかり発信したい」と語る。

──生地ブランドの世界観を重視する理由を教えてください。

「この2つのブランドが、それぞれこういう機能性を持ち、こういうアパレル製品に活用できるのだなという認識やイメージを、スポーツをはじめとするアパレルメーカーに持っていただきたいからです。素材の世界観を感じてもらうために、展示会では出品点数を減らし、新製品に集約して、見やすくレイアウトしています。生地を使用した製品も展示し、その出来栄えを体感いただけるよう工夫しました」

片岡満丸事業部長

「機能性に裏打ちされた
“高級感”“高品質”を発信していきたい」と語る
片岡事業部長

──展開する2ブランドの知名度は高まっていますか?

「『PERTEX®』は特に欧州において知名度が高く、アウトドア分野ではよく知られた素材ブランドです。『PRIMALOFT®』も中綿ブランドとして一定の認知度があります。しかし、カジュアル系アパレルではまだまだ知られていませんし、ライセンス展開する生地の『PRIMALOFT® PERFORMANCE FABRIC』も本格展開が始まったばかりです」

──どういった点をアピールしていきたいですか?

「機能性に裏打ちされた“高級感”“高品質”を発信していきたいと思います。この素材の付加価値を理解してもらい、成約につなげたい。完成した製品に、『PERTEX®』や『PRIMALOFT®』の下げ札を付けてもらえるようにしたいですね。ブランド価値を守る意味でも、量を追いかけるマス市場に拡販することは考えていません」

──伸び代が大きい「PRIMALOFT®」の生地『PRIMALOFT® PERFORMANCE FABRIC』は、どういった展開をお考えですか。

「『PRIMALOFT®』は中綿やフリースの展開は進んでいますが、“ベースレイヤー”(インナーアイテム)がまだでした。まずはこのベースレイヤーを切り口に提案していきます。課題は、秋冬シーズンの素材だというイメージが強いので、春夏シーズン向けにも拡販していくこと。ドライ機能を備えたシリーズでは春夏シーズンも対応が可能です」

展示会レポート

「PERTEX®」──耐摩耗性に優れる「CS10」

世界観を発信した 展示会場

世界観を発信した
展示会場

今年10月に開催した2016~2017年シーズン向けの展示会では、「PERTEX®」の新素材と、「PRIMALOFT®」の生地提案、「PRIMALOFT®PERFORMANCE FABRIC」に焦点を当てた。

「PERTEX®」はアウトドアのダウンジャケットの表地などに使用されているナイロンの高密度織物で、ダウンプルーフやラミネート加工による透湿防水などの機能性が特長だ。素材には幅広いバリエーションがある。今回は、摩耗に強い「CS10」シリーズと、通気性のあるラミネーション素材「SHIELD AP」(シールド エーピー)に焦点を当てた。「SHIELD AP」は「PERTEX SHIELD」の新ラインだ。

完成品も展示し、 風合いや仕上がりを 体感できるよう工夫した

完成品も展示し、
風合いや仕上がりを
体感できるよう工夫した


アウトドア分野ではほぼ行き渡った観のある「PERTEX®」だが、新規分野として、メンズを中心にカジュアル系アパレルメーカーへの提案も強化している。「PERTEX ®UNLIMITED」というファッションシーンに適した素材で、すでに高感度セレクトショップへの採用実績もある。

「PRIMALOFT®」──ベースレイヤーを強化アイテムに

「PRIMALOFT®PERFORMANCE FABRIC」を使った ベースレイヤーの製品も並べた

「PRIMALOFT®PERFORMANCE FABRIC」を使った
ベースレイヤーの製品も並べた

「PRIMALOFT®」では、プリマロフト社とのライセンス契約で展開する生地素材の「PRIMALOFT®PERFORMANCE FABRIC」が最強化ポイントだ。主要な展開アイテムに位置付ける“ベースレイヤー”の製品展示にも力を入れた。また、国内のみで展開する天然ダウンをミックスした中綿素材「PRIMALOFT®DOWN BLEND」シリーズも提案した。

生地提案のバリエーションは広がっている。春夏シーズンに適したドライ機能を持つ「Gold Performance Fabric Dry」や、ウールブレンド、ストレッチ性を持たせたシリーズなど、5つのバリエーションがある。

また、ポリエステルとウールを掛け合わせた機能糸を使用した生地「GOLD WOOL」も新たに企画・提案した。ウールとポリエステルを均一にブレンドした糸で、双方の長所を併せ持っており、“抗ピリング”性に優れている。

このほか、「PERTEX® HCFM SERIES」と「PRIMALOFT® INSULATION ACTIVE」の組み合わせによる高通気インシュレーションも提案している。表地の「PERTEX®」と中綿の「PRIMALOFT®」を各々組み合わせ、製品化することにより、高い機能性のメリットが得られる。高い保温性と高い通気性を両立させた点が特長である。


PERTEX Elemental