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『マーケット分析』
「デサント」ブランドにおけるビーチバレー戦略

update: 2011/09/14

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マルチウエアに波及効果

プレー用ウエアには機能性が詰まっている

プレー用ウエアには機能性が詰まっている

「デサント」ブランドの売上高は順調に伸びている。アスレチックカテゴリーの売り上げは11年3月期連結で89億円(14%増)。過去5-6年前に比べると倍増している。チームスポーツの強化など地道な取り組みも功を奏したが、その要因の1つに、スポーツ雑誌「Number」とのコラボレーションから生まれた「Move Sport」ラインの成長がある。

05年にスタートした「Move Sport」は競技ウエアと一線を画したところで、高機能なアスリートのオフ着として位置付けられている。最近ではスキーウエアにもそのデザインが用いられるようになったほか、毎シーズンの新開発素材や機能を盛り込んだシグネチャーモデルとしての打ち出しも続けている。デザイン性と高機能性との両立が、スポーツに関心のあるエンドユーザーのハートをつかんだようだ。

一方、ビーチバレーはコート内の競技ウエアに限定せず、その周辺や水周りのアイテムを作ってきた。ビーチバレーの切り口で、少しでも市場ニーズを取り込もうとする工夫である。その結果、マルチを意識した「Move Sport」とも連動しやすくなり、既存のアイテムにビーチバレー関連商材が溶け込みやすくなった。

ビーチバレーが「デサント」ブランドにもたらした効果について、「(ビーチバレーをイメージした商品群の)カットソーに目を留めなかったバイヤーが注目してくれるようになったほか、『デサント』ブランドに女性イメージも出てきたので女性のバイヤーも増えた」と同社マーケティング部門デサントマーケティング部デサントMD課、杉浦剛課長は話す。当初はマイナーな競技への投資に対しネガティブな意見もあったらしいが、ビーチバレーという競技の根っこを持った関連商材は小売店に関心を持たれ始めた。ようやく投資の効果が感じられつつあるようだ。

ワールドカップの女子サッカーのように、来年のロンドン五輪でビーチバレーの日本代表が上位に食い込めば、市況も変わってくるかもしれない。「デサント」ブランドのビーチバレーという切り口の提案はまだ道半ばである。