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主要スポーツ各社──DTCの現在地(下)
企業文化を伝える拠点に

update: 2020/08/03

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ミズノは今年3月、フラッグシップ 「MIZUNO TOKYO」をオープン

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「MIZUNO TOKYO」をオープン

主要スポーツ各社において、DTC(Direct to Consumer)政策の強化が進んでいる。ブランドのファンと直接、触れ合うことができる場──タッチポイントとして、各社の注目度も高まっている。IT(情報技術)が急速に進化したこともあり、卸を介さずメーカーが自ら販売する機会が増えてきた。

メーカーとユーザーの距離が近くなった

スポーツ業界はファッション業界と似ている面があり、周期的に新しいビジネス用語が現れる。2000年代前半と記憶しているが、スポーツウエアにファッションの要素を採り入れた“スポーツカジュアル”という言葉が広まった。文字通り、“スポーツウエアにファッションの要素を採り入れたウエア”が企画・拡販されていたからだが、この言葉は“スポーツライフスタイル”とも呼ばれ、日常シーンで着るスポーツウエアという捉え方もされるようになった。

DTCという言葉も、以前は直営店やEC、直販と呼ばれていた販売手法。新しいことのように感じるが、やっている内容に大きな変化はない。ファッション業界でよく使われるSPA(製造小売り)と意味合いが重なる面がある。

従来型の販売網は、卸である代理店や小売店を介してエンドユーザーに商品を届けるという流れが一般的だった。“中抜き”とも言われるが、DTCは間の卸を通さず直接、ユーザーに自社品を届ける流れを指す。今までは間接的に卸から受け取っていたユーザーの購買情報が、文字通りダイレクトに手に入るようになった。顧客との距離が近くなったわけだ。