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“ポスト・コロナ”に臨む
生産・物流・販売──主要スポーツ各社の方針(下)

update: 2020/07/27

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ゴールドウイン──高機能商材をフォローする生産拠点の再編を模索中

ゴールドウインは高機能商材をフォローする 生産拠点の再編を模索中 (写真は「ザ・ノース・フェイス」)

ゴールドウインは高機能商材をフォローする
生産拠点の再編を模索中
(写真は「ザ・ノース・フェイス」)

ゴールドウインでは、今年は暖冬の影響で春夏商戦が早まると予測し、海外生産の春夏商材をコロナ禍が発生する前に日本へ搬入していたため、店頭にモノが並ばないという事態は避けることができた。現在も、大きな影響はないという。しかし4-5月において、販売網に影響が出た。155店ある直営店のうち、150店近くが閉鎖状態にあったためだ。現在はほぼ全店が営業を再開しており、売り上げも順調な推移だという。

その一方で、郊外型のスポーツ店では営業を続けていたケースもあり、そういった店舗では売り上げは堅調に推移した。また直営店の休業中は、ECの売り上げが前年同期比2ケタ増で、いわゆる“巣篭り”需要を取り込むことができた。

生産拠点について、以前は中国生産が約70%を占めていた。ここ数年来、ベトナムやタイなど東南アジア諸国へ分散させているため、今回のコロナ禍でも納期遅れなどによる大きな影響はなかった。ただ近年、「ザ・ノース・フェイス」に代表されるように高機能素材を採用したアウトドアウエアの売り上げが増えているため、「安価な労働力を目的とした拠点見直しではなく、さらなる品質向上を目指した生産拠点の見直しを進める必要がある」と考えている。

物流網は、富山の物流センターの周辺地域で一括して管理・運営しているが、今後はリスク分散の観点から複数拠点化していく方針だ。販売網については、基本的に大きな見直しの予定はない。引き続き、自主管理売り場とホールセールのバランスを最適化することに軸足を置く。ECについては直営店同様、ブランド価値を訴求する拠点として重視している。

ヨネックス──大会を新設、競技者にプレー機会を提供

ヨネックスはコロナ禍のあおりを受けた。また、その影響は現在も続いているようだ。各種の大会が中止された中、別の大会を新設して競技者のプレー機会を確保しようとしている。種目は主力のバドミントンをはじめ、テニスやゴルフなど複数に及ぶ。全国規模での展開を考えている。

コロナ禍の影響による、物流や販売網の見直しは現段階で考えていない。販売面では、今年4月にECサイトを立ち上げたほか、東京・新橋と秋葉原においてショールームを運営する。既存の「ヨネックス」ファンに対する、常に新しい情報発信の場に位置付けている。(終り)