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『マーケット分析』
大阪・梅田の百貨店乱立で変わる勢力図―スポーツ編―

update: 2011/02/28

大丸はカテゴリーキラーを導入

梅田百貨店

梅田百貨店

梅田百貨店:大丸心斎橋では女性客に重点を置いた

今年春、3-4月にかけて大丸梅田店が増床グランドオープンし、5月4日にJR大阪三越伊勢丹が開業する。主力のレディスファッションや雑貨類、デパ地下などは売り場面積・商品量とも大幅に強化される。メンズもそれなりに強化されるが、レディスほどではない。一方、スポーツ関連売り場も商品量ともに増える。ただし、メンズのオフ着という印象は強い。より競技性の強い百貨店スポーツ売り場ではなくなっていく印象を受ける。

大丸梅田店では3月9日、8階の新規増床部分に「つるやゴルフ」が出店する。つるやゴルフは大阪・本町に本店を構えるメーカーと小売店両方の面を持ったゴルフ関連用品企業だ。「アクセル」などゴルフクラブの自社ブランドを持ち、毎年春に開催される男子プロゴルフの公式トーナメント試合「つるやオープン」もスポンサードしている。ウエアもあるがクラブほどではない。強みは自社店舗を持っていること。自社品のほか、競合他社のクラブ、ボール、シューズ、ウエアまで販売する。また最近は、レディスゴルフウエアを重点的に強化している。本町本店には試打スペースを設け、カスタマイズ販売もする。

大丸はこうしたゴルフ市場のカテゴリーキラーを導入するという百貨店の立場ではかなり大胆な決断をした。つるやゴルフは決してゴルフクラブでもゴルフウエアでも高級品や高感度ファッションを扱うような小売店ではない。いわゆるアベレージゴルファーが安心して訪れることのできるゴルフ専門店である。会社帰りにビジネスマンがクラブを買いにふらりと立ち寄るという位置付けの店舗だ。接客も重視するがそれはゴルフに関する専門知識に基づいたもので、百貨店の上顧客に対するそれとは少し異なる。

つるやゴルフがオープン後は、例えば百貨店ゴルフウエア売り場と隣接するし、メンズの雑貨売り場とも回遊できる今まであまり見られなかったフロアがお目見えする。従来の高品質・高級路線を主にしてきた百貨店メンズ(あるいはスポーツ)売り場とは完全に一線を画した売り場が誕生する。昨今、百貨店がメンズ、スポーツ関連売り場を改装する場合、特にゴルフウエアとメンズカジュアルを同じ区画に集約する傾向が見られるようになった(とはいえ、まだまだ少数派だが)。後述する三越伊勢丹がそうだし、伊勢丹新宿店メンズ館も然り。しかし、ゴルフウエアは基本的にメンズ・レディス展開なので、単純にメンズカジュアルウエアと一緒にするのは難しいので、伊勢丹のように自主編集売り場といった品揃えの自由度が高い場合に限られているように思われる。

改装オープン後の大丸梅田店の8階は間違いなく客層が広がる。ゴルフウエア売り場は30-50代中心の男女、つるやゴルフは20-60代まで幅広い男性客、ゴルフウエアに連なるアウトドアコーナーは30-50代中心の男性客...といったところになるだろうか。こうなったら、メンズカジュアルとくっつけずとも、ゴルフという切り口で適度なファッション感度を伴った――内装、什器、照明など、専門店が苦手...というよりあまり注意と関心を払ってこなかった部分――自主編集売り場を作った方が面白いかもしれない。心斎橋店では北館で「ゴルフワールド」を作り、OLゴルファーを戦略ターゲットに据え、その取り込みに一定の成果を挙げた。梅田店ではメンズ客を主体に全方位型の売り場を作ることが予想される。