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小松精練、代表取締役社長 池田哲夫氏
新しい素材開発の肝は“高次加工”

update: 2018/08/24

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「合繊に見えない合繊」を提案する

感性と機能性を持ち合わせた合成繊維が差別化のカギを握ると考える同社。新しい素材開発の肝は、「高次加工」だという。既存の素材をアレンジして、新しい機能や風合いの素材を開発することもできる。

「スポーツシーン──特にアウトドアでは、『1枚の布で夏も冬も着られる生地が理想』だとよく言われます。機能のベースは夏に涼しく、冬に暖かい素材でしょう。こうした考え方を基に開発した素材があります。その1つが、ポリエステルを改質した『Karl Karl-KS®』素材を使った『ホールガーメント®』の無縫製ニット。ある特殊な紡績で特殊な糸加工をしたのち、染色により特殊な高次加工を施した生地です。膨らみを高めながらスナッグやピリングを抑えました。嵩高性はそのままで、3分の2の軽量化を図り、保温性を30%アップさせました。たき火の火が飛ぶと焦げるというデメリットはありますが、こういったアプローチで、新しい素材をいかに開発していくかが焦点でしょう」

「原糸、素材段階ではおそらく技術面や発想面において限界が来ていると思います。差別化を図るには“高次加工”がカギを握ると思います。縫製だけではなかなかウエアの違いを出せません。やはり素材開発が重要だと感じています。最終製品であるウエアという形で、感性と機能性をいかに融合、集約させていくかが重要でしょう」

その感性と機能性の融合を形にした発信拠点を今年10月、東京都内に開設する計画だ。現在、持っている技術力と感性の力を世に問う試みである。「『これが合繊か』と驚かれる合繊を作ることが当社の使命であり、強みだと考えています」(池田社長)。

略歴 池田哲夫(いけだ・てつお)氏 1959年2月生まれ。石川県出身。1981年4月、小松精練に入社。97年7月、同社営業第3部長。2006年6月、同社上席執行役員営業本部長補佐。07年6月、同社取締役。09年6月、同社取締役常務執行役員営業本部長。11年1月から現職。