TOP > 財務分析レポート > 主要各社の業績展望Vol.3 「デサント」...

主要各社の業績展望Vol.3 「デサント」
カギを握るアジアビジネスの成長

update: 2020/01/16

デサント、2018年度・2015年度 財務数値一覧(表1)

デサント、2018年度・2015年度
財務数値一覧(表1)

2020年度のスポーツ主要各社の業績展望の第3回目は、デサントを取り上げる。今期(2020年3月期)は経営陣が刷新されたほか、収益の柱の1つである韓国ビジネスの苦戦で業績が伸び悩むなど、波乱含みの1年だった。中期的には、再び成長路線に載るべく、次の一手を模索している状況だ。

通期は減収減益の見通し

参考にする資料は、2019年3月期(2018年度)および2016年3月期(2015年度)の実績。過去3年間でどれだけ、収益に変化があったかを比較する。別途、添付した今期(2020年3月期=2019年度)の第2四半期の業績も参考にされたい。

2018年度と2016年度を比較すると、売上規模は堅調に拡大しているが、利益率が低下している。直営店やECなど、DTC(ディレクト・トゥ・コンシューマー)への投資が増えた影響もあり、利益が減少した。ブランド別では、「デサント」がけん引役となり、売上額でも1位になるなど、大きく成長した。

デサント、2020年3月期 第2四半期 財務数値一覧(表2)

デサント、2020年3月期 第2四半期
財務数値一覧(表2)

18年度と16年度の財務指標を比較しても、大きな変化がない。健全と見るか、成長が足りないと見るか、見識は様々だろうが、財務面は非常に安定している。利益が減少した分、ROAおよびROEの数値が低下している(表1を参照)。

今期の第2四半期途中から韓国ビジネスにおいて、日本製品の不買運動の影響が表れ始めた。2020年3月期の第2四半期決算は、減収減益の結果だった(表2を参照)。日本ビジネスは売上高275億円(0.7%増)と堅調な推移だったが、韓国が同327億円(1.8%減)と減収に至った。

通期の業績は、連結売上高1,308億円(8.2%減)、営業利益11億円(86.1%減)、経常利益12億円(85.8%減)で、減収減益の見通しだ(2019年11月6日時点)。新しい経営陣の下で、“具体的な”中期的な成長戦略を描き出すことが急務だと考えられる。詳しい数値目標はまだないが、日本、韓国に続き第3の柱として、中国ビジネスの強化を重要課題に挙げている。