TOP > 財務分析レポート > 主要各社の業績展望Vol.2 「アシックス...

主要各社の業績展望Vol.2 「アシックス」
2020年は“飛躍の年”に位置付け

update: 2020/01/15

アシックス、2018年度・2015年度 財務数値一覧(表1)

アシックス、2018年度・2015年度
財務数値一覧(表1)

2020年度のスポーツ主要各社の業績展望の第2回目は、アシックスを取り上げる。中期計画では、2020年を“飛躍の年”に位置付けている。その下地作りとして重要視しているのが、2019年度だった。通期(2019年12月期)の業績発表はまだだが、微増収増益を目標にしていた。

徐々に復調の兆しが見られる

アシックス、2019年12月期 第2四半期 財務数値一覧(表2)

アシックス、2019年12月期 第2四半期
財務数値一覧(表2)

参考にする資料は、2018年12月期(2018年度)および2015年12月期(2015年度)の実績。過去3年間でどれだけ、収益に変化があったかを比較する。別途、添付した今期(2019年12月期=2019年度)の第2四半期および第3四半期の業績も参考にされたい。

2015年度と2018年度を比較すると、業容が縮小している。売上高は4,284億円から3,866億円へ減収。営業利益は274億円から105億円へ減少した。立て直しを図り、再度収益性を向上させる必要が高まっていた。そこで策定されたのが「アクションプラン」だった。

同社は昨年(2019年)8月、中期経営計画の「アクションプラン」を公表した。中計「ASICS Growth Plan (AGP)2020」の数値目標(売上高5,000億円以上、営業利益率7%以上、ROE10%以上)を達成するための具体的な取り組みを示した内容だ。「アクションプラン」の重点項目は大きく4つ。①米国市場のパフォーマンスランニング強化、②中国市場の成長加速、③デジタル事業の成長、④アパレル事業の黒字化、である。

アシックス、2019年12月期 第3四半期 財務数値一覧(表3)

アシックス、2019年12月期 第3四半期
財務数値一覧(表3)

2019年度の第3四半期終了時点では、欧州を除く全地域で増収を達成した(現地通貨ベース)。重点項目の米国は第1四半期以降、プラスの推移。また、「オニツカタイガー」が2ケタ増と好調を持続している(為替の影響を除く)。飛躍の年に位置付ける今年は、公式スポンサーを務める東京オリンピックが開催される。「アシックス」ブランドの露出を最大限活かせるメリットがある。

一方、財務面は安定した状態が続いている。2019年度の第2四半期では、流動性指標で改善が見られた(別表を参照)。効率的な投資により、収益性をいかに高めていくかが最重要ポイントだろう。

通期では連結売上高3,900億円(0.9%増)、営業利益120億円(14.1%増)、経常利益125億円(42.6%増)、当期純利益75億円(前期は203億円の当期損失)の微増収増益を目指している。