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合繊メーカー、2019年春夏シーズン展まとめ(中)
衣服内の“快適性”は年間を通じた機能に定着

update: 2017/12/26

夏場を主体とした “快適性”を求めるニーズが主流になってきた (東洋紡STCの展示会の模様)

夏場を主体とした
“快適性”を求めるニーズが主流になってきた
(東洋紡STCの展示会の模様)

合繊メーカーの2019年春夏シーズン展示会。キーワードは、軽量・除湿・エコの3つが象徴的で、中でも“軽量”性は年間を通じた機能性として定着してきている観がある。2つ目の除湿はいわゆる、衣服内環境の最適化で、昨今の機能トレンドの1つ、快適性を追求した切り口で、これも定番機能になりつつある。

高機能の延長線上にある日常向けの機能性に注目集まる

春夏シーズンにおいて、吸汗速乾や接触冷感、遮熱、紫外線カットといった機能性は定番化──当たり前になりつつある。各社はこうした“定番”の機能性を土台にして、さらにその上乗せをアパレル各社から要求されるため、新しい素材開発の“及第点”が高まっている。新素材開発はますます困難になっている。

東レは先シーズンに引き続き、衣服内の蒸れを軽減する「モイストプラス®」を提案した。吸放湿ポリマーを芯部に配置した特殊なナイロンファイバーを使用している。通気性と紫外線カット機能を両立した「エアロリード®」や、通気口があり通気性の高い素材「ドットエア®」なども提案した。

東洋紡STCは、「ウェアコン™」を新素材として力を入れている。日常向けのニーズ──いわゆるライフスタイル市場を意識した。ポリエステルを主体に、アクリレート系繊維──指定外繊維を採用した生地で、急速に衣服内の“湿度”が高まった時点で“吸湿効果”を速やかに発揮する新しい機能を付加している点が特長だ。既存のアクリレート系素材をアレンジしたものだが、その特徴は、“吸湿”機能に特化した点にある。同時に、同素材が本来持っている“抗菌性”も兼ね備えており、スポーツシーンのみならず、ライフスタイル系のアイテムにも採用できる可能性がある。

帝人フロンティアでは新たに、ニットラミネートの新素材「ファインセル®」を提案した。“生”のポリエステル素材を100%使用した生地で、特有の光沢感、風合いが特徴。スポーツやアウトドアシーンを想定した素材で、ニット素材に透湿フィルムを張り合わせている。こうした従来型の“透湿防水”素材は、防水性に優れる半面、十分な透湿性が得られなかった。ニットラミネートの新素材「ファインセル®」は透湿性を重視した機能性の設定に加え、細い“非捲縮糸”を使い、編立の工夫により適度なストレッチ性を持たせている。同社はそのほか、遮光素材「COOLSHELL®」も展開する。主力素材の「デルタ®」のハイゲージ素材など、幅広い素材提案が強みでもある。

ユニチカトレーディングは、新たに「サラブリーズ™」を提案した。これは鞘芯構造の糸を使った生地で、鞘部にセラミックを練り込んだポリエステルを使用し、遮光・クーリング機能を発揮する素材。透けにくいという特性も持ち合わせる。旭化成アドバンスはニット生地において、新たに速乾素材「シュアドライ®SS」を提案した。吸汗速乾素材「シュアドライ®」のサブブランドに位置付ける。「テクノファイン」を使用した複合糸で、汗を速やかに拡散させる機能のほか、脱水後の乾く速度が速い。織物素材では、仮撚り糸を使用したナイロンのストレッチ生地「レオナ®ES」を提案した。ダウンジャケットの表地やレインウエアなどを想定する。(続く)