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帝人ファイバーの機能素材戦略――
夏場に“快適性”を提供

update: 2012/08/27

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アウトドアで培った機能を基に快適性を追求している (写真は13年秋冬の展示会)

アウトドアで培った機能を基に快適性を追求している
(写真は13年秋冬の展示会)

帝人ファイバーのスポーツ・インナーグループが得意にしている分野はスポーツだが、その機能性を生かしたビジネスシーン向けの新素材開発も進んでいる。昨夏から、いわゆる「節電ビズ」と呼ばれる機能性や快適性を追求したウエアの開発・提案が盛んになった。今夏も、素材提供先の小売店やメーカーの反応は悪くないようだ。高機能が要求される分野で培われた開発力が、日常シーンという新しい分野で芽を出しつつある。

ルーツはアウトドア

同社の機能素材開発力は、アウトドアブランドとの協業により一層、高まった。アウトドアシーンに必要不可欠な吸汗速乾性と消臭に加え、環境に考慮したエコ、冬場では保温性、一部ではスパン(短繊維)性など複数の機能性を求められた結果、試行錯誤の中で機能素材を開発するノウハウを蓄積していった。

現在、海外向けのスポーツ素材が売り上げの約30%を占めるそうだが、そのほとんどはアウトドアのものだという。8月初旬に米国・ソルトレイクシティで開催された世界最大のアウトドアスポーツ展示会「アウトドア・リテーラー・サマーマーケット」にも出展した。

日本市場ではアスレチック(競技)市場が主戦場。ここ数年、「山ガール」が発端になり新規参入者が増えたアウトドア市場は今後、期待が持てる分野だ。現在そのブームは落ち着いているが、堅調な市場である。アスレチック市場に比べるとアウトドアには伸び代があるし、機能開発力を培った同社の得意とする分野でもある。