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ピッチャーの投球を解析する“計測ボール”
各社で製品化の動きが進行中

update: 2018/08/09

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ミズノが開発した計測ボール 「MAQ」

ミズノが開発した計測ボール
「MAQ」

国内のスポーツ主要メーカーにおいて、野球のピッチャーの投球を解析する機能を持つ「計測ボール」の開発が進んでいる。スキルアップを目指す一般の野球プレーヤー層へ向けた提案もあれば、社内で開発を目的とした計測ボールを採用する事例もある。

プレーヤーのスキルアップが目的

IT(情報技術)の発達により、今まで実現できなかったトレーニング関連アイテムの開発が可能になってきた。今回、取り上げる“計測ボール”もその1つである。試合球と同じ体裁の硬式ボールに内蔵された計測機器により、ピッチャーが投げたボールの性質や速度、変化球の特性などを数値化し、測定することができる。

この計測ボールを開発する動きの背景には、高校野球や社会人など、プロを目指すシリアスプレーヤーのスキルアップを目指したいというニーズが大きく影響している。自身の投げる球がどういった性質の投球なのかを“数値化”することにより、技術向上のためのトレーニング内容を効率化できる可能性が期待できる。

国内最大手のミズノでは、野球ボール回転解析システム「MAQ」(マキュー)を、今秋11月をめどに市場展開する計画だ。ボールの中に内蔵した専用センサーで取得したデータを、専用のアプリケーションと連動させることで、継続的なピッチャーのプレーを記録・分析することができる。投げたボールの回転数や回転軸、速度などを計測することができる。

「MAQ」を試した契約プロ野球選手からは、「通常の硬式球と変わらない」という評価を得ている。実際、同社は日本のプロ野球機構に公式球を提供している認定メーカーであるため、ノウハウや技術力の蓄積のある点が強みだ。

計測ボール「MAQ」の内部には、日立マクセルが開発したコインの形状をしたリチウム二次電池を内蔵している。非接触型のワイヤレス充電器(開発中)に置くだけで、充電が可能だという。発売時期は今年(2018年)11月の予定。上代価格は2万9,800円(本体価格)。充電器は1万5,000円(同)で発売する計画だ。初年度の年間販売計画は、3,000個。