TOP > 企業レポート > 主要合繊メーカー、2018年春夏展まとめ...

主要合繊メーカー、2018年春夏展まとめ(上)
“快適性”追求する傾向が顕著に

update: 2016/12/19

< 前のページへ1ページ2ページ

衣服内環境をベストに保つ機能

旭化成アドバンスでは「ベンベルグ」を スポーツ用途にも採用

旭化成アドバンスでは「ベンベルグ」を
スポーツ用途にも採用

カジュアル用途も想定した、衣服内環境をベストに保つ機能――吸汗・速乾は基本だが、それに吸放湿性を加えた素材の提案が複数社で見受けられた。東レは新素材「MOIST+®」(モイストプラス)を開発・提案した。“鞘芯”構造の糸が特徴で、芯の部分には新開発した吸放湿ポリマーを採用し、鞘にはナイロンポリマーを使用している。高い吸放湿性により衣服内の“蒸れ”を抑制するほか、静電機能も兼ね備える。スポーツやアウトドアが主な用途だが、インナーやトップスなど一般衣料への採用も期待できる。原糸から開発しており、布帛、ニット双方の生産が可能。なお、テキスタイルのみの販売になるという。

東洋紡STCでは、新素材「3250FIBERS™」(3250ファイバーズ)を提案した。最も快適と言われる「気温32℃、湿度50%」という環境に近付ける素材という意味合いを持たせている。身体から出る目に見えない水分――不感蒸泄(ふかんじょうせつ)も処理する機能を持つ。短繊維(天然繊維など)と長繊維を組み合わせた構造で、同社が得意とする複合糸である。発汗の程度により、3つのタイプを開発した。長・短繊維を組み合わせた「マナード®」を使用したタイプ、綿とポリエステルの(鞘芯だが)3層構造タイプ、より運動に適した親水性繊維を使用した3層構造タイプの3つ。カジュアルウエアからゴルフの盛夏ウエアまで、風合いと機能性を両立させたい幅広いシーンに適している。

旭化成アドバンスでは、「ベンベルグ」を採用した「MoisteX®」(モイステックス)シリーズを提案した。数シーズン来、たくさんの汗をかく競技シーンにはあまり向いていない「ベンベルグ」をいかにスポーツ用途で活用するかを模索してきた。ポリエステルなどの繊維と組み合わせることで、吸放湿性に加え、吸汗速乾性も持たせている。(続く)