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ミズノ ベースボールビジネス
「ミズノBSSショップ」の戦略とは──

update: 2016/06/27

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「ミズノプロ」硬式グラブ(内野手用)。 ブランドの価値向上に取り組む

「ミズノプロ」硬式グラブ(内野手用)。
ブランドの価値向上に取り組む

ミズノが今年2月から国内のベースボールビジネスにおいて、新しいショップ形態「ミズノBSSショップ」をスタートした。「BSS」とは「Mizuno Baseball & Softball Speciality Shop」の略で、前身の「K‐KLUB」(ケークラブ)を新たに継承するものだ。少子化の影響や他競技の攻勢もあり苦戦傾向が続く国内ベースボール市場において、新しいショップをスタートさせたその狙いは何か? 同社の久保田憲史(くぼた・のりひと) 執行役員ダイアモンドスポーツ事業部長の話を基にレポートする。

ブランド価値を維持する重要な拠点に

同社はベースボールやソフトボールなど4つのベースを使用する種目を総称して、「ダイアモンドスポーツ事業部」と呼んでいる。4つのベースを上から見た時、四角い“ダイアモンド”状に見えることから名付けられた。国内事業を中心にそのダイアモンドスポーツ事業部を統括するのが久保田事業部長だ。

「BSSショップ」は硬式グラブおよび一部軟式のハイエンド商品「ミズノプロ」に限定した取り組みだ。その狙いについて久保田事業部長は、「『ミズノ』ブランドの価値を維持する重要な拠点に位置付けること」だと説明する。「ミズノ」ブランドを直接、エンドユーザーにアピールする場所であるリアル店舗において、「きちんとした接客を実現すること」(久保田事業部長)を重視した。こうした取り組みが、ブランド価値の維持につながると考えている。

その「きちんとした接客」において、「お客様への5つの約束」を「BSSショップ」の選考基準に据えた。専用サイト(https://www.mizuno.jp/baseball/special/bss/5promise/)には、「①地域に密着した活動をおこないます。②野球、ソフトボース専門店として高い専門性を追求します。③お客様との対話を大切にし、質の高い接客対応をおこないます。④お客様が満足するリペア対応をおこないます。⑤野球、ソフトボールに関する情報を発信し、地域コミュニティーを目指します。」という5つの約束がアップされている。「特に③と④の条件が重要」(久保田事業部長)だという。

昨今のゴルフマーケットでは、顧客を囲い込むことを目的に、工房を持ち、クラブをカスタマイズできるクラフトマンが常駐するゴルフショップに限定したカスタムクラブを発売するゴルフメーカーが多くなっている。今回の「BSSショップ」の試みも、こうした顧客囲い込みの施策の1つと考えることができる。専門知識を持った接客──工房を持ち、グラブの“型付け”などの加工やリペアができるショップに限定している。「(グラブを縫製するために)ミシンが踏めることも条件の1つ。当社の波賀工場で研修を受けてもらい、熟練度に合わせて各種の認定証を発行している」(久保田事業部長)。