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主要上場スポーツ関連小売店の決算まとめ(下)
強みの分野を開拓する必要性が増す

update: 2016/06/03

エービーシー・マート、 2016年2月期 財務諸表

エービーシー・マート、
2016年2月期 財務諸表

主要上場スポーツ関連小売店の決算。今回は、エービーシー・マートおよびヒマラヤを取り上げる。エービーシー・マートはシューズという強みを持っているため――また、財務状況が良好なため、比較的強気の商売がやりやすい状況にある。ヒマラヤは財務面がやや重いため、守りの体制にならざるを得ない面がある。

エービーシー・マートは目下、絶好調

シューズを主力商材にするエービーシー・マートは目下、絶好調だ。急速な増収を進めると、その分の反動がマイナスに出る場合が多いが、財務面を含め、当面の不安材料は見当たらない(別表参照)。売上高総利益率(粗利率)は0.6ポイント減だったが、53.3%と小売店にしては高い水準を維持している。販管費率が0.6ポイント増えたが、収益性は依然、高い数値である。

商品回転率が2.1回転とやや低い水準だが、これは主力商材がシューズという面が大きいだろう。粗利率が高いため、交差比率は111と比較的高い数値である。資本回転率も1回転台をクリアしており、効率は悪くない。

ヒマラヤ、2016年8月期 第2四半期 財務諸表

ヒマラヤ、2016年8月期
第2四半期 財務諸表

特筆すべきは、手元流動性資金(いわゆる現金および現金同等物)の潤沢な点だ。5カ月分という高い数値は、他業種の優秀な上場企業と比べても、たいへん珍しいケースである(別表参照)。通常は1カ月分が平均的な部類に該当する。キャッシュが多いため当然、インタレスト・カバレッジ・レシオも117と高水準になる。端的に言うと、同社は資金繰りに苦労しない財務状況である。従って、新しい事業への投資も非常にやりやすい環境にある。

流動比率も529と高い数値だ。また、D/Eレシオが0.018と非常に低い数値である。自己資本比率が86%と高い数値であるため、借り入れに関しても優位な環境にある。

ヒマラヤは、やや苦しい状況だ。前売り(店頭)が芳しくないため、財務面への影響も徐々に大きくなっている。フルイヤーではないが、先の第2四半期の結果は、微減収・損失計上だった。販管費が増え、粗利率が減るという負のスパイラルだった。商品回転率も2.2、0.3ポイント減とやや悪化した。

粗利率および商品回転率の悪化により、交差比率も低下している。しかし、アルペン同様、途中経過のため、通期では改善する見通しを立てている。四半期ごとの“近視眼”的な見立てでは、収益性は芳しくないが、通期で再度評価・判断すべき面もあるだろう。今後の推移に期待したい。(終り)