TOP > 店頭レポート > スポーツ競技を起点に、汎用性を模索す...

スポーツ競技を起点に、汎用性を模索する動き

update: 2017/02/17

1ページ2ページ次のページへ >
「ゴールドウイン」ブランドの汎用性アイテム。 ルーツのスキーからの派生アイテムだ

「ゴールドウイン」ブランドの汎用性アイテム。
ルーツのスキーからの派生アイテムだ

スポーツ競技とカジュアルシーンを掛け合わせた“アスレジャー”という新ジャンルに注目が集まっている昨今。スポーツで培った機能性を、日常生活において新しい商材で企画・表現する取り組みが増えている。数年来、ファッションシーンにおいてスポーツが編集テーマの1つになっている影響が大きい。主要各社の取り組みをまとめた。

機能性を活かした企画が主流に

アスレチック(競技)およびレジャー(余暇)という言葉を融合した造語である“アスレジャー”は、1970年代後半に、スポーツアパレルを強みにするデサントが日本へ輸入した造語である。昨今、ファッションシーンにおいてスポーツテイストが定番になっている市況下で、スポーツ専業メーカーの新しい提案が増えている。機能性を活かしたファッションシーンにおけるスポーツウエア──汎用性、タウンユースに向くアイテムの開発が活発化している。

スポーツとファッション、あるいは日常使いの汎用性を意識したいわゆる“ライフスタイル”商材の展開は、ますます盛んになっている。スポーツ各社の直営店ビジネスが進んでいるのも、こうした市況変化と無関係ではない。ナイキやアンダーアーマー、アシックス、プーマなど、世界の主要なスポーツメーカーが標ぼうするようになった言葉に、“DTC”(=Direct To Consumer)がある。直営店など直接エンドユーザーへアピールできる商材を取り扱うことを強化する傾向の象徴的な事例だ。

デサント「ルコックスポルティフ」の 「ラエール」シューズ

デサント「ルコックスポルティフ」の
「ラエール」シューズ

ライフスタイル=汎用性ニーズをいち早く取り込んできたのは、ゴールドウインが手掛けるアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」。そのコンセプトを採り入れて、「ゴールドウイン」ブランドでも今春から新たに、汎用性を想定した商品群を販売し始めた。ルーツの“スキー”シーンに着想を得たウエア群で、高い機能性をベースにして、日常使いにも耐えうるデザイン性も付加している。“機能美”という表現もできるだろうが、同ブランドでは、“スキー好きのスキーヤーが着たくなるウエア”を念頭に置いて、企画している点が特徴だ。「ザ・ノース・フェイス」で蓄積したノウハウを活かし、社名ブランド「ゴールドウイン」でも、新たな顧客を獲得しようとしている。

そのほかゴールドウインでは、ラグビーブランドの「カンタベリー」で、ワークアウト=フィットネスシーンへ向けた提案を強化する。3月15日に東京・丸の内新丸ビル4階に、「RUGBY PLUS CANTERBURY(ラグビープラス カンタベリー)」をオープンする。主軸はワークアウトだが、日常=汎用性も意識した提案だ。

デサントは「ルコックスポルティフ」において、日常使いを意識したレディススニーカー「ラ エール」を販売する。元来、ライフスタイル――汎用性に適したブランドであるが、前述のアスレジャーなどトレンドを意識した取り組みと言えるだろう。スニーカーのトレンドは数年来、続いている傾向だが、マス市場にまで拡大した“スニーカー”市場を改めて取り込んでいく狙いがあるとみられる。