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スポーツ企業によるカジュアルシューズ展開
既存・新規チャネル開拓を目指す

update: 2012/09/03

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多ブランド展開で相乗効果狙う

エスエスケイ「ウルバリン」

エスエスケイ「ウルバリン」

エスエスケイは13年春夏から、フランスのシューズブランド「PALLADIUM」(パラディウム)を日本の総代理店として取り扱い始める。今年3月までシューズ専門店のエービーシー・マートが展開していたブランドだ。

「PALLADIUM」は1920年にフランスで誕生し、航空業界向けタイヤの製造で一時代を築いた。1947年、ブーツの生産を開始。その後はキャンバスシューズも手掛け、カジュアルシューズブランドとして成長してきた。2009年、米国のK‐SWISS社が買収している。

同ブランドのターゲット層は10代後半から20代後半の若い層で、メンズが中心。6000-9000円が主要な価格帯で、レザーのモデルは1万円後半の設定だ。13年春夏ではベーシックな色・形の定番品にカラフルなモデルを追加し、レディスなど新規顧客の開拓に力を入れる。

レザーの比較的高価なシューズが特徴の「ウルバリン」を以前から展開している同社。販路はある程度、開拓できていた。「PALLADIUM」を第2の柱として位置付けている。なお「ウルバリン」はアウトドアブランド「フィルソン」と共同展開もしている。

ディアドラジャパンは「ディアドラ」ブランドの「ライフスタイルコレクション」で、12年春夏から、プレーヤーのオフシューズをイメージしたカジュアルテイストのシューズを展開し始めた。上代価格は1万円前後と手に取りやすい設定だ。2万円を超える「ヘリテージコレクション」が高級カジュアルシューズとして百貨店やセレクトショップで定着しつつある。裾野を広げるため、新しいラインを投入した。

垣根がなくなりつつあるカジュアルシューズ

「ディアドラ」のライフスタイルコレクション

「ディアドラ」のライフスタイルコレクション

スポーツライフスタイルと呼ばれるスポーツ発祥のカジュアルシューズ市場。「オニツカタイガー」や「ルコックスポルティフ」など既存ブランド群に加え、新規ブランドが増えている。競技系スポーツシューズは安定しているが大きな変動がない。シェアの変動もそれほど大きくはない。それに対し、カジュアルシューズ市場はファッション性が大きなセールスポイントになるため、人気・シェアの変動が比較的大きい。

スポーツウエアでも進んでいる現象だが、スポーツシーンと日常シーンの双方で着用できる汎用性を持った商品を企画することは当たり前になった。スポーツメーカーがカジュアルシューズを扱っていても不思議ではなくなった。

今回、紹介したシューズブランドは、履き心地など必要な機能性を持ってはいるが、競技系シューズと比べると基本的にローテクである。むしろ一般のカジュアルシューズのようにデザイン性やファッション性で勝負する色合いが強い。そのためアパレル同様、展開する販路や売り場の垣根はなくなりつつある。

ドメスティックブランド、外資ブランドを問わず、スポーツ市場ではアパレルとシューズ(フットウエアと表記するメーカーも少なくない)が市場開拓・売上確保を進める上で共通した大きな武器になっている。シューズもアパレルのように多様化してきたと見るべきなのだろうか。