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主要スポーツ各社──DTCの現在地(上)
ブランドの世界観を発信する拠点に位置付け

update: 2020/07/31

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ゴールドウインの強みの1つは 多様な業態の開発 (写真は「THE NORTH FACE LAB」)

ゴールドウインの強みの1つは
多様な業態の開発
(写真は「THE NORTH FACE LAB」)

主要スポーツ各社において、いわゆるDTC(Direct to Consumer)政策の強化が進んでいる。エンドユーザーである顧客=ブランドのファンに対し直接、その世界観を伝えて実購買につなげようという取り組みだ。具体的にはリアルの直営店、ECサイトによるアプローチ──タッチポイントの確保が一般的だ。

小売店の意識も変化──メーカーの直営店と共存共栄

 DTCという呼び方を使い始めたのは、NIKE(ナイキ)社やadidas(アディダス)社など外資系のスポーツ企業で、ここ数年の出来事だ。今では国内スポーツ各社も普通に使うようになったが比較的、新しい言葉である。それまでは「直営展開」などといった地味な呼称が一般的だった。厳密には、各社でDTCの定義が少しずつ異なるが、「直接エンドユーザーとの関係を持つ」という点は共通しているようだ。

 20年ほど前は、ECも今ほど発展しておらず、卸先のスポーツ小売店の販売力が強かった。そのため、スポーツメーカーが直営店を出すことに難色を示す小売店が大勢を占めていた。スポーツ小売店とメーカーの直営店が“競合”する可能性があるから、というのが大きな理由だった。

 しかし時代は変わるもので、今では「出店した商圏においてそのブランドの認知度が高まる」という理由で、スポーツメーカーの直営店は概ね歓迎(あるいは黙認?)されるようになった。自店の売り場にメーカーの直営店を誘致するケースも珍しくなくなった。相乗効果が見込め、共存共栄が図れるという考えからだ。