TOP > マーケット分析 > 『マーケット分析』「競泳水着」 2012年...

『マーケット分析』「競泳水着」
2012年シーズン、各社の新作が出揃う

update: 2011/12/12

< 前のページへ1ページ2ページ3ページ4ページ

国内水着市場は縮小傾向、シェア獲得合戦に

デサントによると、現在の国内水着市場は220-230億円だという。ピーク時が300億円だったというから、約75%に縮小している。中高生やマスターズといったシリアス層をどれだけ取り込んでいくかがポイントになる。アウトドアやランニングなど、ほかのスポーツ分野へエンドユーザーが流れていった影響も小さくないようだ。したがって新規参入するスイマーがあまり見込めない状況になっている。

ゴールドウインによると、社団法人日本マスターズ水泳協会の登録者数は5万人弱だという。20-30代のスイマーが少なく、マスターズ層は高齢化している。前述4社の販売計画着数を単純に足すと6万5000着という数字になる。マスターズ層の5万人弱に中高生から大学、社会人の競技者層を含めてもこの数字に近くなるかどうか? かなり高価な水着だし、限られたスイマーの取り合いになる可能性は高い。

一般的な競技ウエアやランニングシューズなどに比べると水着(特に競泳)市場規模は大きくない。投資に見合った回収が簡単ではない分野であることは間違いなさそうだ。「speedo」の「LZR RACER」の開発費は通常の10倍と言われる。グローバルに販売していかないとなかなか利益を確保することは難しい。今後、水着ビジネスで売り上げ・利益を拡大していくためには、日本以外の市場を開拓することが必要になってくる。

ところで現時点において、来年のロンドンオリンピックでどの日本代表がどこのメーカーの水着を着用するかは決まっていない。年明けの国内選考会が最初の通過点(あるいは関門か)になると考えられる。各メーカーの開発担当者にとっては落ち着かない日々が続く。