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『注目パーソン・インタビュー』
ゴールドウイン、大江伸治副社長

update: 2011/07/04

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成長のかぎは赤字事業の立て直し

収益の柱、「ザ・ノース・フェイス」

収益の柱、「ザ・ノース・フェイス」

新中計の肝は前述したように、「成長軌道に乗せる」こと。そのかぎを握るのが赤字事業だ。以前に比べるとアスレチック事業は改善したが、まだ黒字化していないブランドがいくつかある。

「『HH』はアウトドアライン次第だが、おそらくブレークイーブンを確保できると思います。課題は『エレッセ』のテニスと『スピード』。今期中にある程度めどを立てて、来期中に黒字にする。当社は赤字事業がなくなると大幅に業績が伸びる。つまりそれだけ赤字事業が足を引っ張っているということ。しかし『エレッセ』は難しい。百貨店売り場が多いし、コストの高い経営になっている。今の百貨店中心の展開を根本的に見直す必要があると考えています。百貨店のインショップをある程度整理して、モールやフリースタンディング(路面の独立店舗)なイメージの直営を出す、あるいはショップ形態を変えていくだとか。NSCとしっかり組む必要があるかもしれません」

「また一方で、『エレッセ』は『Ch』のように多様な表現に耐えうるブランドではありません。やりつくした感があるというか、1つのイメージが染みついているように感じます。ブランドイメージの再構築において、『エレッセ』は当社で一番難易度が高い課題でしょう」

全事業の黒字化のほかに、アスレチックやアクティブ(ウインター、バイク等)、新規事業においてもボトムアップも目指す。しかし主力のアウトドア事業は、新中計では最終年度の13年3月期に198億円(11年3月期は194億円)と控えめな数値目標。非常に手堅い予算である。

「アウトドアは社内的には高い数値を設定しています。アウトドア市場の最大の強みは、団塊から上の世代で体調・健康維持のために軽スポーツを取り入れる層の拡大と、女性の参入が増えていること。ファッションを切り口にした山ガールはいずれ収束するだろうが、われわれがターゲットにしているのは山のコアな部分。年配の山歩きやトレッキングはまだ伸びる。『TNF』などはコア&モアで企画しています。アウトドアのコアな部分(高機能性)=芯がないとだめで、(アウトドアから派生したタウンなど)モアが独り歩きすることはあり得ません。コアがあってモアがあるのです」

大江伸治(おおえ・しんじ)氏1947年生まれ。71年4月、三井物産入社。99年7月、同社本店繊維本部長付シニアスタッフ。00年6月、ゴールドウイン常務取締役として出向。03年1月、三井物産サービス本部本部長補佐。04年4月、同社理事コンシューマーサービス事業第一本部副本部長。07年6月、ゴールドウイン取締役専務執行役員。10年4月から現職。