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ゴールドウイン
大江伸治・取締役副社長執行役員総合企画本部長
財務体質が改善、増収基調に乗る

update: 2012/06/25

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ゴールドウイン、大江伸治取締役副社長

ゴールドウイン、大江伸治取締役副社長

前々期(2011年3月期)に5期ぶりの増収増益を果たし、同時に14期ぶりの復配を実現したゴールドウイン。前期(2012年3月期)も引き続き好調で、売上高486億円(14%増)、経常利益33億円(20%増)と2期連続で増収増益を達成した。主力のアウトドアスタイル事業が好調だったことに加え、懸案だったアスレチックスタイル事業において「チャンピオン」ブランドが黒字化した。前期78億円あった有利子負債も57億円まで削減された。2010年5月に発表された新たな中期経営計画の最終年度に当たる今期(2013年3月期)は組織再生の集大成の年である。07年6月、三井物産からゴールドウインの取締役に就任し、財務体質や組織力の強化を陰ながらサポートしてきた大江伸治取締役副社長に、今期にかける意気込みを聞いた。

中計の数値達成、実質無借金に

中期計画(2011年3月期~2013年3月期)の2年目に当たる2012年3月期(2011年度)の業績計画は、売上高435億円、営業利益10億円、経常利益27億円だった。実績は売上高486億円、営業利益11億円、経常利益33億円と計画を上回る結果だった。最終年度は売上高450億円、営業利益20億円、経常利益35億円の計画だが、通期見通しは売上高520億円、営業利益15億円、経常利益32億円と利益面では手堅い数値設定になっている。これは店舗数の増加やイベント実施による経費増が背景にある。

「中期計画と対比すると、2年目に当たる61期(2012年3月期)の売上高は計画を相当上回っているほか、利益面はほぼ計画通りです。販売管理費が増えましたが、これは人件費の自然増や直営店の増加による販売員増および店舗への投資、3月の原宿マラソンなど大きなイベントを開催したことなどが主な要因です。また、生産背景が厳しくなっているため、特に中国の生産面で仕入れを早期化したことも影響しました。自主管理売り場の増加で、店頭在庫を計上した一面もありました。しかし在庫の回転率は60期の5.5に対し61期は5.8と改善しています」

期末に実施した不良在庫の処理も効率化に貢献しているようだ。FINA(世界水泳連盟)の規定変更により在庫が増した「スピード」で、在庫一掃を図った。

「『スピード』ブランド関連で、『レーザーレーサー』(前々期に処理済み)以外の規定に外れた水着などを一掃しました。合計4億円ほど処分し、中身はうんときれいになった。経費増の理由ははっきりしています。しかしFINAの規定変更はかなり影響しました」

財務面の各指標においても、改善が見られる。「DER」(デット・エクイティ・レシオ=負債資本比率)も前々期の0.5から0.3に改善した。

「純資産は今期で目標の200億円を達成できると思います(前期は176億円)。自己資本比率は総資産も増えたので45%(前期は40%)くらいになると思います。また、期末の現預金と有利子負債の額がほぼ同額なので実質、無借金の状態になりました。今期末にはさらに改善すると思います」