TOP > 注目パーソン インタビュー > 『注目パーソン・インタビュー1』 —「オ...

『注目パーソン・インタビュー1』
—「オニツカタイガー」、ブランドの“変身”元年

update: 2011/02/14

< 前のページへ1ページ2ページ3ページ次のページへ >
株式会社 OTプランニング 代表取締役社長 江里口健太郎氏

株式会社 OTプランニング
代表取締役社長 江里口健太郎氏

「新しい商品の良さは理解していただけましたが、少し抵抗があったようです。コンセプトを分かってもらえるよう、もう少し接客に時間をかけるべきでした。しかし、岩谷さんご自身は『このブランドには自分の(アパレルデザインに関する)強い発信力が必要とされている』と考えている節があり、顧客の拒否反応は織り込み済みだったようです。私も10年秋冬のシーズンでは、ブランドのイメージが変わったことをファンに伝えるべきだと思っていました。シューズの『モンテポカラ』の新作が振るわなかったことなど不満な点はありますが、スタートはうまく切れたと思います」

まずはお客さんをびっくりさせることに眼目を置いたようである。ブランド刷新から1年が経過する今年の秋冬シーズン以降、2012年ごろからはアパレルの商品企画のすそ野を広げ、ブランドの規模拡大に本腰を入れる。今はその下地作りの時期に当たるようだ。

自主管理売り場、拡大中

中期計画AGPでは、「オニツカタイガー」の売上拡大と並行して、自主管理売り場の拡大も目標に掲げる。今年2月4日、東京・お台場の「ヴィーナスフォート」に国内8店目の直営店をオープンしたが、今後、ショップインショップでは自主管理売り場が主体になってくる。例えば昨秋オープンした藤井大丸と銀座三越のショップは自主管理売り場だ。藤井大丸はレディス売り場にメンズとレディスをトータル展開。銀座三越はレディス売り場でレディスのみのコーナーを開設した。売り場環境により、商材の編集を変えている。

「アパレルに占めるレディスの売上比率が10%増えて40%になりました。藤井大丸や銀座三越のショップでは、新しい顧客を取り込めたと思います。また、靴だけしか買いに来なかった顧客へアパレルをアピールすることもできました。(オニツカのような)スポーツがベースで1ブランド展開している場合はどうしてもメンズ色が強くなる。店舗のイメージを変えるつもりはありませんが、インショップではデベロッパーのコンセプトに合わせた方がいいと思います。シューズだけの店という構想もあります」

インショップではブランドの見え方・見せ方に幅ができる。一方、卸では、UAとの提携がうまく行っている。昨秋、「モンテポカラ」のUAとのコラボレーション品を出したところ、500足が瞬く間に完売した。大きな売り上げを占めるわけではないが、ブランドイメージを高める手法としては理想的だ。

展示会には国内の主力セレクトショップの担当者が訪れたという。大きな取引はこれからだが、新規チャネルとして期待できる部分だ。

「直営売り場の勝ちパターンを早急に確立して、自主管理売り場を積極的に増やしていきたい。セレクトショップ内のコーナーで展開するのも1つの方法です。店舗展開はある程度の数で一段落すると思いますが、1店舗当たりの売り上げは上がると思います。また、『オニツカタイガー』ファンと同じ感性を持った顧客の来る店舗とは協業していきたい。シューズでコラボを積極的に進めたい。最近、評判の良かった協業は、自動車ブランド『MINI』とのコラボ。感性を同じくする顧客層へ向けて発信でき、完成度も高かった」