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主要上場国内スポーツ企業5社、2021年3月期まとめ(下)
屋外カテゴリーが堅調

update: 2021/05/24

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ゴールドウインは3つの新しい事業区分で業容拡大を目指す (画像は主力の1つ「ライフスタイル」のイメージ)

ゴールドウインは3つの新しい事業区分で業容拡大を目指す
(画像は主力の1つ「ライフスタイル」のイメージ)

主要上場国内スポーツ企業5社の2021年3月期連結決算をまとめた。上半期だけを見ればコロナ禍のマイナス要因が大きかったものの、下期は全体的に回復基調だった。ランニング、アウトドア、ゴルフ、キャンプなど屋外で楽しめるスポーツ競技、種目の回復が早く、前年比を超えているケースも見られる。

主力のアウトドアが強みを発揮したゴールドウイン

主要スポーツ上場企業5社、2021年3月期 財務数値一覧(表1)

主要スポーツ上場企業5社、2021年3月期
財務数値一覧(表1)

対象にした企業は、美津濃(ミズノ)、デサント、ゴールドウイン、ヨネックス、ゼットの5社(順不同)。いずれも3月末に期末を迎えた企業で、2021年3月期決算だ。

ゴールドウインは売上高904億円(7.6%減)、経常利益159億円(2.4%減)の減収・減益だった。しかし売り上げに占める利益率は15%超と高水準を保っている。結果は減収減益だったが、手堅い決算と言えるだろう。主力アウトドアが売上高781億円(0.2%増)で、前半にコロナ禍で苦戦したにもかかわらず、後半の追い上げで前年比を上回った。アウトドア事業の業績としては過去最高を記録した。

新しい5カ年の中期計画も公表している。2026年3月期には売上高1,250億円、経常利益225億円を目指す。財務面の数値改善に取り組み一方、環境保全に係る取り組みも一層強化する。同社が出資する人工クモ糸のスパイバーが製品化した「ブリュード・プロテイン」は、要望があればアパレル他社へも供給する方針。タイ、米国での量産化が軌道に乗れば、価格も安定すると考えている。

新中計での特徴の1つは、事業領域を一新したこと。従来は競技別に「アウトドア」「アスレチック」「ウインター」に大別していたが、「パフォーマンス」「ライフスタイル」「ファッション」という着用シーン別に再編した。エンドユーザーがどのシーンで自社製品を使用するかが焦点だと考え、それに適した商品を企画、提供する。「ザ・ノース・フェイス」で多く採用されているが、販路やシーンで企画を分ける手法で、同社が得意とするものだ。