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決算展望 ①美津濃──通期見通しを上方修正

update: 2021/05/06

美津濃、2020年3月期 財務数値一覧(表1)

美津濃、2020年3月期
財務数値一覧(表1)

2021年3月期の決算開示が近付いてきた。主要な国内上場スポーツ企業の業績見通しを展望する。第1回目は美津濃(ミズノ)を取り上げる。上期はコロナ禍の影響で苦戦したが、下期は徐々に取り戻し、通期見通しは前年比を下回るが上方修正している。

コロナ禍から着実に回復

ミズノも他社の例に漏れず、コロナ禍に翻弄された1年だった。第1四半期は減収、損失を計上。第2四半期は営業段階で損失だったが、経常段階で利益を確保した。第3四半期は売り上げの下げ幅も縮小し、前年比に届かなかったが利益を確保した。

美津濃、2021年3月期 業績予想(表2)

美津濃、2021年3月期
業績予想(表2)

通期では売上高1,500億円、営業利益34億円、経常利益55億円の見通しだ。昨年11月に開示した数値を上方修正している(表2を参照)。前年比には届かないが、コロナ禍から着実に回復してきている。

売上減に苦しんだミズノだが、財務面は安定している。商品回転率はやや低下しているが、「流動性指標」は手堅い推移だ。D/Eレシオは正常と言われる0.3倍以内に止まっている。自己資本比率は65.6%(1.1ポイント増)と微増している(第2四半期時点)。

同社の業績は比較的、大きく変動しない傾向が強い。平時は安定しているため注目されにくいが、コロナ禍のような厳しい商況では強みを発揮する。2020年度は、手堅い経営手法が功を奏したと言えるだろう。(続く)