主要合繊メーカー、2018年秋冬シーズンまとめ(下)
海外も視野、見やすさ・分かりやすさを重視
update: 2017/07/12
主要合繊メーカーの2018年秋冬展示会。冬場の衣服内の快適性を考慮した素材が登場したほか、昨今のスポーツアパレルのトレンドを意識した新素材も提案された。その一方で、世界市場を意識した取り組み──素材ブランドの提案・展開も着実に進んでいる。
共通の“ブランド”名で発信進める
海外市場の開拓が進んでいる東レや帝人フロンティアでは、それぞれ国内外で使用できる共通した素材ブランドを重点的に強化している。幅広い顧客に認知してもらう目的がある。
東レは前出の「エントラント®」や「モイスト+®」に加え、ストレッチ素材の共通ブランドとして、「プライムフレックス®」を強化ポイントに挙げている。織りとニット両方の生地で、“バイメタル”構造のポリエステル糸やナイロン糸を使用したシリーズがメーンだ。今回は6つの切り口で同素材を提案した。
スーパーマイクロファイバーを使った滑らかな風合いのタイプや、ナイロンのバイメタル糸のストレッチ素材、炭素系粒子を練り込み蓄熱保温性を持たせたものなど、バリエーションを広げ提案力を強化している。
一方、帝人フロンティアは「デルタピーク®」という共通ブランドで展開している。今回、新たに提案した肉厚のスウェット系素材「デルタ®フリーモ™」も同じカテゴリーに入る。
「デルタ®フリーモ™」は数年来、苦戦している往年の定番素材、ジャージーの後継として位置付ける。ポリエステル100%だが、“綿ライク”な風合いに仕上げた。吸水速乾性を備えつつ、ファッションシーンに求められる要素を採り入れた点が特長だ。汎用性=ライフスタイル需要が高まっているスポーツ市場において、グローバルなスポーツメーカーから要望されている素材である。