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アシックスの長期ビジョン「VISION2030」
製品・場の提供・データ活用の3領域を重視

update: 2020/10/06

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長期ビジョン「VISION2030」では、 3つの事業領域を掲げた

長期ビジョン「VISION2030」では、
3つの事業領域を掲げた

アシックスが10月5日、2030年までの今後10年間に取り組む事業領域の指針「VISION2030」を公表した。製品(プロダクト)・場の提供(ファシリティとコミュニティ)・データ活用(アナリシスとダイアグノシス=分析と診断)の3領域を重視する内容。具体的な収益の数値目標は、来年2月に公表予定の中期経営計画(3カ年)に盛り込む方針だ。

来春、中期計画で数値目標を開示

長期ビジョン「VISION2030」は、同日オンラインで開催された事業説明会=「インベストメントデイ」で公表された。「アシックスという会社が将来ありたい姿を長期的な視点で表したもの」だ。コロナ禍などで急速に変化する市況に対応するべく、今後10年間で積極的に取り組む領域の指針をまとめた内容。3つの事業領域に加え、横軸で「デジタル」「パーソナル」「サステナブル」という共通した3つのテーマを掲げる。

事業領域は大きく3つ。1つ目は現在、主力になっている「プロダクト」(製品)事業で、これは今後も継続して強化する。開発が進んでいる取り組みの1つが、パーソナライズド・シューズ。データやITのノウハウを用い、各人の足型に適したシューズを提供する。既に一部オーダーシューズの販売を行っているが、さらに各人の足型や特徴、能力に適した精度の高いシューズの提供を目指す。

2つ目は「ファシリティとコミュニティ」で、サービスにおけるハードを指す。昨秋、東京・豊洲にオープンした低酸素トレーニング施設「アシックス スポーツコンプレックス 東京ベイ」がその典型事例。同様の施設を増やす構想もある。また、スポーツ愛好者同士のコミュニティ形成のサポートも強化点。自社のアプリ「ランキーパー」を活用した「バーチャル駅伝」がその一例だ。ネット上のバーチャル空間で、スポーツ体験を提供する。

3つ目は「アナリシスとダイアグノシス」(分析と診断)。各ランナーに適したトレーニング・プログラムを提供する。具体的には、カシオ計算機と協業したランナー向けのウエアラブル・デバイスを活用したデータやサービス。個々人に適したトレーニング・プログラムなどを提供するサービスで、来年(2021年)には市場投入できる見込みだ。

そのほか先行して展開するのは、データ収集用のセンサーをソールに内蔵したランニングシューズ「エボライド オルフェ」。クラウドファンディングサイト「マクアケ」と協業したシューズで、11月から納品がスタートする。直営店やECサイトでも販売する計画だ。