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帝人フロンティア、村田製作所と共同開発
電気で抗菌性を発揮する“圧電”繊維「ピエクレックス」を市場投入

update: 2020/06/05

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帝人フロンティアと村田製作所が共同開発した 「ピエクレックス」

帝人フロンティアと村田製作所が共同開発した
「ピエクレックス」

帝人フロンティアと村田製作所が6月4日、大阪市内で会見し、電気で抗菌性を発揮する“圧電”繊維「ピエクレックス」を共同開発したと発表した。村田製作所が得意とする“圧電”フィルム技術と、帝人フロンティアの機能繊維の知見を融合させた新素材だ。両社が出資した合弁会社、株式会社ピエクレックス(滋賀県野洲市)が研究・開発、ブランディングを担当する。

スポーツ衣料や一般アパレル、衛生材などに採用

「PIECLEX」(ピエクレックス)は植物由来の素材を使用した“ポリ乳酸”(PLA)を使用した新素材で、従来は生分解素材などに採用事例がある。このPLAに力を加えると微弱な電気が発生する性質を活用し、抗菌性を持たせることに成功した。

抗菌性のメカニズムは、応力により発生した電気が細菌に伝わり、細胞膜を破壊するなどして死滅させる効果がある。素材が元来持ち合わせている機能性であるため、原則的に従来の抗菌剤などによる後加工が不要。繰り返し洗濯しても半永久的に機能性は低下しない。

当面は主にアパレルを主体に採用事例を模索する。「ピエクレックス」素材を押さえつけるあるいは引き延ばす時に電気が発生するため、人が身に付けて運動している間は持続的に抗菌性が発揮されることになる。

本年度(2020年度)は協業できるアパレル関連企業とサンプル製作を進める計画だ。具体的に製品化できるアイテムとしては、肌に触れてよく動くシーンで着用するもの――靴下や下着、サポーターなどが有力候補だ。もちろん、スポーツアパレルの可能性も大である。当初は国内企業を対象にするが、ゆくゆくは世界規模の拡販を目指す。2025年度には売上高100億円を計画している。