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ゴールドウインとスパイバー、構造タンパク質素材を採用した世界初のウエア
アウトドアジャケット「MOON PARKA」

update: 2019/10/03

“構造タンパク質”素材を 表地に採用した アウトドアジャケット「MOON PARKA」

“構造タンパク質”素材を
表地に採用した
アウトドアジャケット「MOON PARKA」

ゴールドウインと、同社が出資するスパイバー(山形県)が開発を進めてきた“構造タンパク質”素材。その素材を表地に採用したアウトドアジャケット「MOON PARKA」(ムーン・パーカ)を今秋、数量限定で販売する。サステナビリティー=環境保全を意識した企画でもあり、次世代の新しい製品を先駆けて提案する狙いもある。

タウンユースも意識した高機能アパレル

スパイバーは元々、蜘蛛(クモ)が作り出す強度や柔軟性に優れるクモ糸の構造を人工的に合成し、工業用に採用できないかという目的で、開発を進めてきた。こうした開発方針に賛同したゴールドウインが同社へ出資し、共同で人工クモ糸の開発に取り組んできた。

「MOON PARKA」。 表地の風合いには 独特の光沢感がある

「MOON PARKA」。
表地の風合いには
独特の光沢感がある

人工クモ糸は、“構造タンパク質”素材の一種で、スパイバーでは、そのほかに短繊維や長繊維など、様々な組成の素材を作ることができるようになった。今回は人工クモ糸に先んじて、製品に採用できる品質の素材が出来上がったため、アウトドアジャケットの表地に採用。数量限定だが、市場へ発信、新しい価値観を問いかける製品となった。“構造タンパク質”素材は、主原料を石油などの化石資源に依存せず、微生物による発酵プロセスを活用して生成されたものだ。

同製品は、ゴールドウインが手掛けるアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」とスパイバーのダブルネームで取り組むコラボレーションプロジェクト「THE NORTH FACE Sp.(ザ・ノース・フェイス エスピードット)」の第2弾だ。1弾目は、同素材を使用したTシャツを企画、販売している。

「ザ・ノース・フェイス」とスパイバーの コラボレーションプロジェクト 「THE NORTH FACE Sp.」の第2弾だ

「ザ・ノース・フェイス」とスパイバーの
コラボレーションプロジェクト
「THE NORTH FACE Sp.」の第2弾だ

アウトドアジャケット「MOON PARKA」は、50着の限定販売で、上代価格は15万円(本体価格)。収益目的と言うよりも、メッセージ性に重きを置いた製品だ。10月末まで予約を募り、今年12月をめどに販売する。

“構造タンパク質”素材を使用した生地は3層構造。中央には防水透湿ラミネート素材を使用し、防水性と透湿性を付加している。中綿には、「ザ・ノース・フェイス」のハイエンドライン「サミットシリーズ」にも採用している「CLEANDOWN®(クリーンダウン)」(ダウン95%、フェザー5%)を使用した。シリアスなアウトドアシーンでも着用できるが、タウンユースでも使用することができる。

2021年には、スパイバー社のタイ工場が稼働する予定。コストダウンと量産化が現実味を帯びてくる。人工クモ糸の開発も継続しており、2-3年後にはさらに、製品のバリエーションが広がる可能性がある。