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「デサント」ブランド──ファッションシーンにも進出
ルーツの“スキーウエア”にヒントを得る

update: 2017/04/17

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「デサント」ブランドが 変わるきっかけになった 「Move Sport」

「デサント」ブランドが
変わるきっかけになった
「Move Sport」

昨年度(2016年度)に全社の売上比率でトップに立った「デサント」ブランド。連結売上高が478億円、売上比率は37%(6ポイント増)にまで拡大した。本丸のスポーツウエアに加え、ブランドのルーツであるスキーウエアから派生した「水沢ダウン」や「オルテライン」など、タウンユースでも着用でき、ファッションシーンに耐えうる新しい商材も育ってきた。現在のブランドの隆盛をもたらしたのは何か。

きっかけは「Move Sport」

かつて、スキーウエアブランドとして国内外で一世を風靡した「デサント」ブランドだが、1990年代半ばのバブル崩壊と共に元気をなくしていた。また全社レベルでは98年の「アディダス」ブランドの離脱が追い打ちをかけ、一転して倒産の危機に陥っていた。ライセンスブランドだった「アディダス」の売上規模は約400億円。1,000億円あった売り上げは600億円にまで落ち込んでしまった。「アディダス」に替わる、新しい“アスレチック”(競技)ブランドを確立する必要に迫られていた。

スポーツメーカーには、4年おきのオリンピックに合わせて、新しい機能性や製品を開発し、世に問うという基本的な開発姿勢がある。世界的に注目が集まり、効率の良い発信ができるメリットがあるためだ。デサントも例外ではなく、過去のオリンピックで発表した新製品が、ステップアップの起爆剤になってきた。

「デサント」ブランド上昇の最初のきっかけになったのが、2004年のアテネオリンピック。スポーツ雑誌「ナンバー」と協業したスポーツウエア「Move Sport」(ムーブスポーツ)を企画・発売した。当時、アパレル系のセレクトショップが興味を持ち、店頭で販売されたという。継続の予定はなかった企画だと言うが、展示会に参考出品したところ、小売店から反応があり、07-08年あたりからインラインの企画に広がっていった。デサントBMアスレチックプロダクトプランニング&セールスの山田満デザインディレクターは、「この経験が後の『水沢ダウン』につながっていったと思う」と語る。