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東洋紡STC、機能素材ビジネス 2015年度
北米、欧州ラグジュアリー系が健闘し前年並みを確保

update: 2016/05/31

カジュアル分野へも 勝機を見出そうとしている

カジュアル分野へも
勝機を見出そうとしている

東洋紡STCの機能性素材関連ビジネスの2015年度は、北米のスポーツ関連、および欧州のラグジュアリーブランドのビジネスが健闘し、微増収・微減益とほぼ前年並みの収益を確保した。主力のスポーツ素材分野では、アスレウエアの新規獲得およびラグジュアリーブランド向けのビジネスにより、増収を達成した。

今期は海外・カジュアルなど、新規分野の開拓を目指す

上期に為替の影響を受けて利益が目減りしたものの、下期ではその影響を吸収して、収益の均衡に漕ぎ着けた。輸出は韓国や北米市場を中心に順調に推移したほか、欧州は横ばいだったが、アウトドア関連が堅調だった。国内では苦戦傾向のアウトドアだが、北米などの海外市場では、堅調な推移のようだ。

欧州は、アウトドアがやや苦戦傾向にあると言うが、いわゆるスポーツとファッションが融合した市場である“アスレジャー”の拡大により、ファッション系──新規のいわゆるラグジュアリー系ブランドへの機能素材の採用が進んでいる。同社もスポーツマーケットに軸足を置いているが、こうしたアスレジャーのトレンドの追い風を受けて、スポーツとファッションを掛け合わせた提案にも、新しいニーズを見出しているようだ。

2015年度の業績は、前述の通り微増収・微減益とほぼ前年並みの収益だった。その内訳は、国内のアスレチックブランドのビジネス拡大による増収をはじめ、アウトドアを主体とする北米ビジネスの堅調、欧州のラグジュアリー系ブランドのビジネスが健闘したことによるプラスがあった。

今期(2017年3月期)は、引き続き海外市場および国内のアスレ市場の強化に力を入れる。そのほか、国内市場では、ニットシャツ「Zシャツ」に象徴されるカジュアル分野──メンズ市場への開拓も継続した強化分野だ。すでに、紳士服量販店への納品で、約150万枚という実績を挙げている。

そのほか、好調な北米市場への提案も強化ポイントだ。国内のアウトドア市場は一服感があるが、北米市場はまだ堅調である。新規も含め、増収の余地があるため、当面は強化市場の1つである。また、欧州では、“アスレジャー”のトレンドが後押しし、前述の通りラグジュアリーブランドへの素材提供も順調だ。こうした多面的なビジネスにより、通期でも堅調な推移を想定している。