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2020年の区切りへ向けて──
出揃ったスポーツ主要各社の中期計画を俯瞰する(下)

update: 2016/05/27

主要各社の中計数値目標

主要各社の中計数値目標

アシックスやデサントを筆頭に、中計では日本以外の海外市場をより積極的に開拓しようとする意志が感じ取れる。すでに開拓が進んでいる地域ではよりそのプレゼンスを強めるほか、新規市場への投資も共通した部分だ。

ゴールドウイン、海外市場開拓に本腰

アシックスは欧州と米州(現在は経済不安の南米が不振)が大きな収益の柱になっているし、ここへ来て、アジアの売り上げが伸び始めた。デサントはデサントコリアが大きな成長エンジンになっているが、「デサント」や出資した「イノヴェイト」などグローバルで展開できるブランドについては、欧米市場での拡大も視野に入れている。

ゴールドウインは新たに5カ年中期計画を策定した。5年後の2021年3月期(2020年度)に連結売上高800億円、営業利益65億円、経常利益73億円、ROEが11.2%という数値目標である。

2020年に創業70周年を迎えるゴールドウイン。今回の新中計はその点でも大きな節目になる。重点課題は5つ。「ゴールドウイン」を筆頭にオリジナルブランドの業容拡大が最重要の取り組みだ。また海外事業は2ケタの売上比率を目指す。

昨今、活況を呈しているランニング・ワークアウト市場におけるコアブランド事業の確立も取り組みの1つだ。M&Aの可能性も排除していない。投資家から高い関心を集めた人工クモの糸を開発中のSpiber(スパイバー)社への出資も重要な取り組みの1つで、今秋には「ザ・ノース・フェイス」ブランドから、製品化された第一弾のアウタージャケットが発売される予定だ。

もう1つは、同社が得意にしている自主管理型ビジネスの強化である。ECなどデジタルブランドマーケティングと連動する面もあるが、店頭を起点にして顧客へブランド観を発信していくという基本姿勢に変わりはない。

3年後の数値目標を公表しているミズノ

国内の主力メーカーであるミズノは、具体的な中期計画を策定していない。1年ごとに見直される3年後までの数値目標(連結売上高と経常利益)を公表するにとどまっている。主要国内スポーツメーカーの中では、独自路線を採っている。

グローブライドは2014-2016年度(2015年3月期から2017年3月期)の3カ年計画を策定、実行中である。終わった期(2016年3月期)が2年目に該当する。今期が最終年度に当たり、連結売上高800億円、同営業利益30億円、1株当たりの配当金50円を目標に掲げている。

ダンロップスポーツは2020年12月期を最終年度にする中期5カ年計画を公表している。数値目標は連結売上高が1,000億円、営業利益が60億円、ROEが5%以上という内容だ。2015年度までの3カ年計画では、日本が目標を達成したがアジアや北米は未達だった。売上高目標が1,000億円だったが、781億円にとどまった。海外売上比率は32.7%(目標は50%)だった。その意味では、5カ年の1,000億円という数値目標は控えめな設定と言えるだろう。

新中計におけるダンロップスポーツの大きな狙いはやはり世界市場の開拓である。新中計の資料には、「技術力で世界が認めるスポーツカンパニーになることを目指します」という一文が書かれてある。ゴルフブランドの「ゼクシオ」「スリクソン」「クリーブランドゴルフ」をグローバルに展開・強化し、ゴルフとテニスの種目で業容拡大を図る。新たに投資し始めたフィットネス関連事業も強化ポイントの1つだ。ちなみに同社は今期末決算(2016年12月期)から、国際財務報告基準(IFRS)を任意適用する。国内上場スポーツメーカーの中では初めての適用である。(終り)