デンハム2015-16秋冬展示会
遊牧民をテーマに素朴さと新しさをミックス
update: 2015/05/01
デザイナーのジェームス・デンハム氏が2009年に立ち上げた、オランダ発ジーンズメーカー「デンハム」。立ち上げ当時から「日本は世界のデニムを支えている」として、10年に代官山へ世界2店舗目、日本1号店をオープンしている。現在は世界17ヶ国で展開。日本には東京、大阪、名古屋で計10店舗を運営している。
デザイナーの最初のキャリアが“テーラリング”だったことから「伝統を重んじ、しきたりを壊す(リサーチ+イノベーション)」というアプローチでものづくりをしているのが特徴。デニムを中心にカットソー、ニット、アウター、シューズなど、トータルコーディネートで提案してる。デニムは3つのシリーズがあり、ヴァージンデニムと称するリジットデニムを使用したシリーズ(白パッチ)、ヨーロッパで素材調達から加工まで行うシリーズ(黒パッチ)、日本国内で素材調達から加工まで行うシリーズ(ブラウンパッチ)で構成されている。
2015-16年秋冬のテーマは「遊牧民」。遊牧民からイメージする“素朴さ”にデンハムが持つイノベーションを融合したアイテムを展開する。
白パッチのシリーズからはエコを意識したデニムとして、洗い加工の際、洗剤替わりに砕いたクルミを使用したという『ソープナッツデニム』が登場。タグにはクルミが入った巾着袋も付いてくるそうだ。また、30回洗っても色落ちしないというブラックデニム「フォーエヴァーブラック」、イタリアの生地メーカー、カンディアーニ社のセルビッチデニムを使った商品を提案する。
デニム以外のアイテムでは不定期で発表している「リカットテキスタイルシリーズ」に注目。ミリタリーブランケットなどの古い素材をパッチワークし、インディゴで染めた生地にして、コートやジャケットを製作するという。古布が一定量集まった時にしか生産できないということから、このシリーズを集めているファンもいるそうだ。今季はメンズから剣道着からインスピレーションされた「ケンドーコート」を発売する。こういった日本の伝統文化を感じるアイテムは多く、レディスからはリサイクルのフレンチリネンに“刺し子”を施したジャケットなどが登場する。デザイナー自身が持つ“日本に対する熱い思い”が随所に感じるとることができるブランドである。
(ファッションライター 苫米地香織)