東洋紡STC 総合素材展 第9回「Tasty展」
テーマは「0(ZERO)」生活の不快をゼロに
update: 2014/07/22
東洋紡STCが2015-16年シーズンの総合素材展第9回「Tasty(テイスティ)展」(TOYOBO Artistic Special Technology Exhibition)を開催した。「0(ZERO)」をテーマに、“生活の不快をゼロに”近付ける素材を「原糸販売素材」「インナー生地素材」「寝装用途素材」「シャツ素材」「スポーツ素材」の5つのカテゴリー別に提案した。
初の試み、年1回の開催に集約
同素材展は年2回開かれていたが、今回は初めての試みで年1回に集約して来場者の反応や評価を確かめることになった。提案した5つのカテゴリーに共通したテーマが「0」で、生活の不快をゼロにするという機能訴求のポイントにつながっている。5つのカテゴリーごとに、重点プロモート素材をピックアップして提案した。
「原糸販売素材」では3つの素材を提案。「トライクール®」はY字断面のマイクロポリエステル原料を使った紡績糸にファインセラミックスを配合。直射日光から体を守り、快適性を保つ機能を持つ。紫外線カット性能や赤外線の反射率も高く、実験では衣服内温度が3-4℃低く保たれるという。透け防止効果もあり、またピリングも発生しにくい。「マハラニ®」は最先端のバイオテクノロジーを駆使して開発したハイブリッドコットン。インド南部・デカン高原で生育した最高級の超長綿だ。繊細で優しい風合いが特徴。発色性にも優れている。3つ目は「エアリーコット®」で、東洋紡独自の紡績方式を採用した綿100%のバルキー素材。一般の綿より軽量感、接触温感に優れる。
「インナー生地素材」では3素材を提案した。1つ目が「リフレス®」。木材を材料にした繊維で、レーヨンやコットンよりも保水性に優れる。原綿の段階で改質しており、耐久性がある。2つ目は「サラソラ®」で、短繊維の風合いと長繊維の機能性を融合させた複合紡績糸だ。糸の外装に長繊維を内側に短繊維を配し、吸汗性・速乾性・クーリング効果を持たせた。3つ目は「エリアストック®」。生地内に特殊な空気層を形成して保温性を発揮する。
「寝装用途素材」では、7つの機能性素材を「清潔革命®Z」としてグループで提案している。今回は新たにアクリレート系繊維「アルゲンブロック®」が加わった。原綿の段階で加工し、花粉を吸着する機能を持たせた。「エアークロス」は薄型の3D構造体で、制菌性や通気性、水切り性に優れる。「グレンゲラン™」は羽毛の代替素材として開発された合繊中綿で、寝装用以外にも中綿ジャケットなど衣料用としての用途もある。
「シャツ素材」は「ラブファイン®」「マスターシード®」「ウェーブヒート®」の3素材を提案した。「ラブファイン®」は断面がハート型のフルダルポリエステルを使用した。特殊セラミックポリマーを配合しているため透けにくい。異形断面による吸水速乾性も持つ。「マスターシード®」はシルク様の光沢とカシミアに近い滑らかな風合いを持つオリジナルコットン。「ウェーブヒート®」は保温性素材。遠赤外線を効率良く放射するセラミックスを練り込んでいる。
「スポーツ素材」では、「アクセンシャル®ゼブラ」と「テクニスタ48®」の2素材を提案した。「アクセンシャル®ゼブラ」は嵩高だが軽量なジャージー素材で、ストレッチ性やハリコシなど、従来の風合いと異なる仕上がりだ。「テクニスタ48®」はレギュラーポリエステルにストレッチ性を持たせたニット生地。塩素劣化のあるポリウレタンを使用しないストレッチ素材として、機能性アンダーや水着などにおいて採用の幅が広がっている。
(樋口尚平)