「神戸ハーバーランド umie」が4月18日グランドオープン
神戸阪急跡等を再開発、ファミリー層に照準
update: 2013/04/16
瀬戸内海を臨む神戸の複合商業施設「神戸ハーバーランド」(神戸市中央区)が全面改装し、既存施設の「モザイク」と併せて4月18日、「神戸ハーバーランドumie(ウミエ)」としてグランドオープンする。三菱倉庫と日本生命保険相互会社が共同で所有する商業棟で、イオンモール(千葉県)がリニューアル・管理運営業務を担当した。
関西・神戸初のテナントが53店
神戸ハーバーランドにはかつて西武百貨店や阪急百貨店、ダイエーなど大型小売店が出店していたが売り上げは伸び悩み、昨年春の阪急百貨店の閉店を機に一部の商業棟が閉鎖されていた。同商圏内には大丸神戸店やそごう神戸店、ファッションビルのオーパやマルイなどが点在する。こうした既存の商業施設との住み分けを図るため、ニューファミリー層を対象にした複合型ショッピングモールとして再スタートを切ることになった。
モザイクを含めた総店舗数は225店。うち関西初出店が13店、神戸初出店が40店と目新しいテナントを集積した。一部、先行オープンしていたテナントもあるが、移設・リニューアルする店舗もある。総延べ床面積は約19万8,000㎡(うちモザイクが約3万3,000㎡)、総賃貸面積は約8万5,000㎡(同約1万5,000㎡)。賃貸面積では、イオンモールの既存施設「mozo(モゾ) ワンダーシティ」(名古屋市西区)とほぼ同じ規模だ。
主なターゲット層は母娘を中心とした地元のニューファミリー。商圏は広くなると予測するが、「改めて地域顧客を掘り起こす」(神戸ハーバーランド umie、大矢憲和ゼネラルマネージャー)狙いがあり、地域密着型の商業施設に位置付ける。以前は神戸ハーバーランドとモザイクでサービスが別々だった駐車場も、今回のリニューアルを機に統一を図った。駐車台数は約3,000台。平日の普段使いと、週末は広域からの車による来館を念頭に置く。
時間消費型の施設
同施設は「ノースモール」(北モール)、「サウスモール」(南モール)、「モザイク」の3棟で構成する。「ノースモール」には大型テナントを集積し、神戸阪急が入居していた「サウスモール」には個性派のファッション系ショップを集めた。モザイクは既存テナントを中心に飲食店舗が主体になっている。
大型テナントは「ノースモール」を中心に神戸初の「H&M」や「OLD NAVY」「Bershka」のほか、「ユニクロ」「GU」「ZARA」といったファッション系専門店が出店。「ゼビオ」や「ヴィクトリアゴルフ」といったスポーツ系大型店も出店している。さらに「サウスモール」にはフィットネスクラブの「コナミスポーツ」、ゲームセンターの「セガ」、家電量販店の「ソフマップ」と「コジマ」の複合店舗も入居する。5-6階の最上階にはシネマコンプレックス「OS cinemas」が入る。
4月19日には「モザイク」に隣接する形で「神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール」も開業予定。また今夏をめどに、「トイザらス・ベビーザらス」の併設店舗が神戸初出店する予定。典型的な時間消費型でワンストップ・ショッピングの郊外型モールと言える。
課題は集客力の持続性
年間の売上目標は360億円。年間入館客数目標は1,800万人(アンパンマンミュージアム含む)。総賃貸面積を考えると控えめの数値といえるだろう。
集客力の高いテナントを集積し、200店舗を超える規模で再スタートを切る同施設。これは、管理・運営を担当するイオンモールが過去に成功したショッピングモールの事例に当てはまるものだという。大矢ゼネラルマネージャーも「3つ(の商業棟を)併せると大きな力になる。規模感に期待している」と語る。
しかし、背景に景気の減退が影響していたとはいえ、過去に苦戦してきた物件であるのは事実。最寄駅のジェイアール神戸駅から同施設と連絡している地下街の「デュオ神戸」や、運営会社が頻繁に替わりリーシングが安定していない「プロメナ神戸」など、競合する商業施設もある。高い集客力を持続できるかどうかが焦点で、前年実績を比較できる2年目以降の売り上げが重要になってくる。元々、集客の見込めない郊外で商業施設を開発してきた同社のノウハウが試される。
(樋口 尚平)