シキボウ、展示会 ECOLOGY & SAFETY「ECOTECHNO®」
「サステナブル」をテーマに幅広い素材を提案
update: 2019/04/13
《展示会レポート》
シキボウは4月の展示会において、ECOLOGY & SAFETY「ECOTECHNO®」(エコテクノ)を掲げ、「サステナブル」(持続可能性)をメーンテーマに、幅広い素材を提案した。昨今、アパレルシーンでも注目が高まっている環境保全や再生素材など、サステナブルを意識した機能素材を集積した。
綿素材をベースに複合素材も企画
同社は年に2回、素材展を開催している。特に春夏、秋冬といったシーズンは謳っていないが、今回は来春夏向けの素材を重点的に提案している。新素材の提案はなく、メーンテーマ「サステナブル」を基にした、既存のバージョンアップを図った内容だ。
主力素材の1つが「COTTON USA™」。栽培の農法や公正な労働環境など、自然に配慮した環境下で生産される米国製綿花だ。米国は綿の生産国であると共に消費国でもある。その管理システムは世界レベルだという。以前は綿100%の素材のみ認定されていたが、現在では、綿50%以上を使用していれば、「COTTON USA™」の認定が使えるようになっている。
もう1つの主力は「Erinature®」(エリナチュレ)。野蚕(やさん)のシルクを使用した綿との混紡素材で、消臭やUVカットなど、シルク由来の機能性を持つ。東南アジアで生産しており、地元の経済発展にも貢献している素材だ。「サステナブル」のテーマに合致する素材である。
強みの1つ、ユニフォームでもバリエーション強化
ベトナム生産の糸では、芯に異形断面のポリエステル、鞘部分に綿を使用した芯鞘構造の糸「クイックドライコットン」が強みの1つ。高品質の綿「プレミアム デュアルアクション」や、涼感を追求した強撚シリーズ「プレミアム クール」も提案した。
ワーキングなどユニフォーム素材も強みの1つだ。猛暑だった昨シーズンにヒットしたファン付きの作業着だが、汗臭の処理が課題になっていた。衣服内で汗臭を軽減する機能性生地「Super anier®EFW」(スーパーアニエール EFW=electric fan wear)の展開も始めている。また、ヤシの実や茶葉など、天然由来の材料を使用した機能性提案も行った。ヤシの実では撥水性を、茶葉では抗菌性を生地に付加する。
そのほか、「調温」機能を実現する後加工「TEMP-C」(テンプシー)も継続して提案した。熱を加えると固体化し、氷で冷やすと液体化する特殊な加工剤を使用。冷房が効いた20℃の室内と、35℃の真夏の炎天下における衣服内温度を極力、平準化する調温機能をもたらす加工だ。
(樋口尚平)