展示会レポート
BIG JOHN 2017年春夏
50年前の加工技術に思いを馳せるジーンズ
update: 2016/09/20
来年で50周年のアニバサリーイヤーを迎えるビッグジョンの17年春夏展示会が行われた。1967年に業界で初めて採用したワンウォッシュ加工「ビッグウォッシング」を打ち出し、デニム特有のゴワゴワ感をなくしたジーンズを広めてきた歴史にクローズアップした。
今年はさらに進化したユーズド加工「ニュービッグウォッシング」を開発。この加工は薬剤を一切使用せず、レーザー加工やオゾン脱色など新しい加工技術を重ね、リアルなユーズド感を再現したもの。今後は環境に配慮したサスティナブルな商品を提案していくという。
ニュービッグウォッシングはビッグジョンの「M1」と「M3」のシリーズで採用。「ゼロケミカル」という総称で展開する。それとは別に「M1」「M3」「コンプリートフリー」の3シリーズでは、横断企画として新素材「ビッグジョンエア」を採用したアイテムも提案していく。
「ビッグジョンエア」はコットン100%のような表情がありながら「軽さ、速乾性、ストレッチ」があるオリジナル素材。履き古した様なクラシカルなジーンズに見えて、手にすると軽く、穿きやすく、ムレにくいといった快適性も備わっている。
リピーターが増え続けている人気のストレッチジーンズ「コンプリートフリー」からは定番の5ポケットに加え、自転車やスケートボードを楽しむ人たちに向けたデザインもの、破れやほつれなどリアルなユーズド加工を施したデザインものが登場。今まで定番を愛用してきた方に別のデザインでさらに楽しんでもらえる他に、ファッションもスポーツも楽しみたい人たちに愛用してもらえるような幅広さが出た。
「ワールドワーカー」では“セットアップ”をテーマに、ナイロン、デニム、サッカー素材でコート・ジャケット・ベスト・ハーフパンツ・ロングパンツを作り、同素材または異素材でセットアップを楽しむという提案をしている。ワーク&ミリタリーがコンセプトの「ワールドワーカー」でナイロン素材を使うの珍しい。撥水素材を使ったナイロンコートは収納袋付きで梅雨時期に活用しそうだ。
16年春夏からスタートした「ビッグジョン レディース」は、もっと幅広い女性にアプローチすることを目指し、インポートデニムの雰囲気があるシリーズに刷新。50~80年代のビンテージ感を持ちつつ、今どきのシルエットに落とし込んだジーンズを展開する。すべてのシルエットに「モンロー」や「ミランダ」など外国人女性の名前を付け、その名前に合ったディテールのジーンズになっている。
「ブラッパーズ」からはこれまで展開してきた美脚ジーンズの他に、新たにストレートやワイドシルエットのジーンズが加わった。またメンズ商品と同様、様々な加工を施したユーズド感のあるジーンズも展開する。
セレクトショップ向けに展開している「クリーンデニム」からは脱ベーシック・脱ノームコアの流れを意識した、遊び心のあるジーンズが登場。ワッペンを付けたり、ワッペンが付いていた跡をデザインに取り入れ、さらにそこへ刺しゅうを施すなど、1点もののような雰囲気のあるアイテムになっている。こういったデザインを活かし、卸先の店頭でワッペンのカスタマイズができるイベントなども企画提案している。
50年前に国内初の洗い加工を施したジーンズを生み出し、穿き心地の良さを実現して国内のデニム産業を発展させてきた同社。今シーズンはその歴史を思い起させるような新加工や新素材の打ち出しを色んなシリーズで展開していく。
(ファッションライター 苫米地香織)