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三陽商会のセレクトショップ事業
「LOVELESS」の成長戦略
名古屋に新店、東海地区初展開

update: 2016/02/29

「ラブレス名古屋」の2階レディスフロア。 世界観の演出に留意している

「ラブレス名古屋」の2階レディスフロア。
世界観の演出に留意している

三陽商会のセレクトショップ業態「LOVELESS」(ラブレス)の通算6店舗目に当たる「ラブレス名古屋」(名古屋市中区栄)が2月27日、グランドオープンした。同社の中期5カ年経営計画において、“準基幹事業”に位置付けられている業態だ。2015年度の実績は、姉妹店「GUILD PRIME」(ギルドプライム)と併せた計10店舗(うち3店は2015年度に出店)で、売上高が27億9,000万円、前年比14.8%増と好調な推移で、対計画比でも1%増と堅調である。今期の2016年度は33億5,000万円(20.1%増)の計画だ。満を持して東海地方へ初出店した名古屋店の紹介と共に、今後の同事業の方向性についてまとめた。

2018年度までに20店前後を出店

「ラブレス名古屋」の地階メンズフロア。 レンガの壁などを使用した内装

「ラブレス名古屋」の地階メンズフロア。
レンガの壁などを使用した内装

同社のセレクトショップ事業では「ラブレス」と姉妹店の「ギルドプライム」を併せて、2018年度までに20店前後まで増やす計画を立てている。今回の名古屋店を含めた現在の店舗数は、「ラブレス」が6店、「ギルドプライム」が5店である。「ラブレス」は2004年7月、東京・青山の路面店舗を皮切りにスタートした。「ギルドプライム」は2009年9月、東京・渋谷の路面店舗が1号店だ。関西や福岡、仙台などに店舗を構えている。

顧客層は20-40代と幅広い。オリジナルブランドに加え、国内外の高感度ブランドをセレクトしている点が特徴だ。路面店展開のケースが多く、特に「ラブレス」では名古屋を含め5店が路面立地である。“廃墟となったお城を彷彿とさせる”内装が特徴で、レンガの壁や植物、全体に暗めの店内照明など、個性的なブランド観を演出・発信している。

「ラブレス名古屋」は名古屋の繁華街・栄地区の一角に出店した。周辺にはラグジュアリー系など多数のファッションブランドの路面店舗が集積する。4年前から物件を探していたというが、ようやく適した建物が見つかり、居抜き改装の上、開店に漕ぎ着けた。地下1階、地上3階の4層構造で、売り場面積は555㎡。青山店の848㎡に次ぐ規模である。既存店の品揃えを踏襲しているが、名古屋店限定の商材も数多く取り揃えた。

ものづくりにこだわり、世界観を発信する

「ラブレス名古屋」。 モード系セレクトショップを意識し、 店内では取り扱っているブランドの ファッションショーの映像も流す

「ラブレス名古屋」。
モード系セレクトショップを意識し、
店内では取り扱っているブランドの
ファッションショーの映像も流す

このセレクトショップ事業は、ファッションブランドを構築していく原点回帰を目指したビジネスの面がある。同社の主力ブランドである「マッキントッシュ」や「ポール・スチュアート」に比べるとまだ規模は小さいが、6年連続で計画比を達成するなど、着実に成長を続けている。

同事業のディレクター兼チーフバイヤーの靏博幸(かく・ひろゆき)氏は、セレクトショップビジネスについて、「1つ1つ作り上げていく喜びがある」と説明する。コートも自社工場で縫製するなど、品質を重視している。収益の面でも、「重衣料が強い点も、“強み”になっている」(靏ディレクター)という。トレンドアイテムの1つ、スカジャンの刺繍は国内の協力工場を活用した。生産効率が低く大量生産できない面もあるが、価格は1着5万9,000円。セレクト商材では20万円近い高額商品もある。一方で1万円台の手に取りやすいエントリーアイテムもあり、“幅広い価格設定、商品展開”も特徴の1つになっている。

その特性上、規模を追いかける業態ではないが、違いの分かる良い顧客を着実に取り込んでいく点では有効なビジネスだ。「価格帯の幅広い、エッジの利いた商材を揃えている」(靏ディレクター)こともあり、前述の通り顧客の年齢層は幅広い。こうした点からも、長期的に安定成長していける業態と言えるだろう。

(樋口尚平)

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