ワンオー、初のコンセプトストア
「ナカザキ オー ハイツ」をオープン
update: 2017/10/30
《店頭レポート》
株式会社ワンオー(東京・松井智則代表取締役)が10月28日、同社初のコンセプトストア「NAKAZAKI O HEIGHTS(ナカザキ オー ハイツ)」(大阪市北区中崎町西)をオープンした。着物工房の建物を居抜きで改装した一画で、地上3層のショップ。中崎町の個性や周辺の環境を活かしたコンセプト、商品ラインナップが特徴だ。
地元・中崎町に馴染むショップを目指す
ワンオーは、アッシュ・ペー・フランスの1事業部、PR01. がMBO(マネージメント・バイ・アウト)により分社化して設立された。「ナカザキ オー ハイツ」はその初めてのコンセプトショップだ。ショップの構成は、大坪洋介シニア・マネージング・ディレクター、神谷温子クリエーティブプロデューサーが担当した。
「ナカザキ オー ハイツ」の売り場面積は、3層で約54㎡とコンパクトな造り。大阪・中崎町の環境に溶け込むセレクトショップを目指している。昨今、中崎町には個性的なクリエーターやアパレルショップが出店する街として、注目を集めているという。大阪・梅田の繁華街から徒歩で約20分の距離というアクセスの良さもプラス要素。戦時中の空襲を逃れた区域で、古き良き大阪の庶民の街並みが残っている点が魅力だ。
出店のきっかけは、同社が企画制作を手掛けた「シブヤ(渋谷)ファッションフェスティバル」。渋谷の街の活性化を目指したイベントだが、この取り組みにより、全国各地から“街作り”の依頼が集まった。今回の「ナカザキ オー ハイツ」も、中崎町の活性化、街の個性発揮が目的である。
ショップの1階と3階部分を大坪氏が担当、2階部分を神谷氏が担当した。1階は大坪氏のクローゼットをイメージして、米国・ロサンゼルスのブランド「ATELIER & REPAIRS」(アトリエ&リペアーズ)をはじめ、ビンテージの古着、アクセサリーなどを取り揃える。3階はオープン記念で、大坪氏のロサンゼルスの家の一部を再現した「OTSUBO 29 COLLECTION」と題したアンティーク雑貨、ビンテージ服などを集積したコーナーを設けた。
2階はアクセサリーを軸にしたフロア。新しい切り口として、「家の中で身に着けるジュエリー」(神谷氏)をテーマに構成している。一部パジャマも置き、“生活感の中のジュエリー”の世界観を演出する。
街に合わせた店作り、実験的な側面も
松井智則代表取締役は「ナカザキ オー ハイツ」について、「街から触発された要素をショップに盛り込んだ。店のコンセプト作りに“テンプレート”(定型)はない。その街に合った店を構築するという発想」だと語った。大坪氏はコンセプト作りについて、「その土地に根差したショップということに重きを置いている」と説明した。
首都圏に限らず、大阪・梅田などの都市部では、定番化した構成やテナントによる効率を重視した商業施設が主流だ。「ナカザキ オー ハイツ」には、そうした既存のファッション提案とは異なる「実験的な側面もある」(大坪氏)ようだ。
「“エシカル”な雰囲気を良しとする方に来てもらいたい」と松井代表取締役。ショップのテーマが“中崎町”のため、特定の年齢層・テイストによるターゲット設定はない。大坪、神谷両氏も、「客層は幅広い」と予想する。新しいファッション小売店の在り方を模索する試みが始まった。
(樋口尚平)