ギャップ社、2021年1月期 本決算
コロナ禍が影響し減収、損失を計上
update: 2021/03/10
The Gap Inc,(ギャップ社)の2021年1月期連結決算は、コロナ禍の影響が長引いたこともあり、2ケタの減収・損失を計上するに至った。200を超える店舗の閉鎖もマイナス要因となった。各地域、各ブランドで苦戦した。第4四半期(11-1月)は主力ブランド「Old Navy」(オールドネイビー)が増収したほか、利益を確保するなど、復調の兆しが見えてきた。
第4四半期は「Old Navy」が復調傾向に
連結の売上収益は、138億米ドル(約1兆4,352億円、1米ドル=104円で換算)、15.8%減で2ケタの減収となった。売上総利益率(粗利率)は34.1%(3.3ポイント減)と低下した。販管費率が40.3%(6.4ポイント増)と相対的に増加したこともあり、営業損益は8億6,200万米ドル(約896億4,800万円、同)の営業損失となった。
税引前損益は、11億200万米ドル(約1,146億800万円、同)の損失。借入金の増加で利息が増えた影響があった。当期損益は、6億6,500万米ドル(約691億6,000万円、同)の損失を計上した(表1を参照)。
地域別の売上高は軒並み2ケタの減収だった。主力の「U.S.」(米国)は116億5,000万米ドル(約1兆2,116億円、同)、13.0%減。「Canada」(カナダ)は9億7,200万米ドル(約1,010億8,800万円、同)、15.7%減。「Europe」(欧州)が3億2,900万米ドル(約342億1,600万円、同)。日本を含む「Asia」(アジア)が7億1,000万米ドル(約738億4,000万円、同)、34.5%減と大きく苦戦した。
業態別の売上高は、主力の「Old Navy」が75億3,600万米ドル(約7,837億4,400万円、同)、5.6%減と難しい市況下で健闘した。第4四半期(11-1月)に限定すると、4.9%増と復調傾向にある。「Gap」(ギャップ)は33億8,800万米ドル(約3,523億5,200万円、同)、26.9%減と苦戦した。店舗の閉鎖も少なからず影響した。「Banana Republic」(バナナリパブリック)は14億6,200万米ドル(1,520億4,800万円、同)、42.4%減と大きく落ち込んだ(表2を参照)。
借入金が増加、財務体質がやや悪化
期末の店舗数は、3,715店(140増、344減。フランチャイズを含む)。「Old Navy」が1,220店(32増、19減)。「Gap」が1,013店(22増、179減)と大幅に減少した。「Banana Republic」は518店(8増、79減)。「Franchise」(フランチャイズ)は615店(67増、26減)。
財務体質がやや悪化している。借入金が増え、自己資本の低下により、D/Eレシオが増加した。商品回転率、粗利率が下がったことで交差比率も低下した。流動比率、売上高純金利負担率は改善している(表1を参照)。
通期では、2ケタ半ばから後半の増収を見込んでいる。オンラインも含めたトップライン=売り上げの回復が、収益力の回復に直結すると考えられる。
(樋口尚平)