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主要上場アパレル企業7社、2019年度業績まとめ
おしなべて厳しい結果に

オンワード樫山のレディスブランド「23区」

オンワード樫山のレディスブランド「23区」

国内の主要上場アパレル企業7社の2019年度業績が出揃った。決算期の移行期にある企業がいくつか存在するため、開示時期や前年比などが異なるケースがある。全般的に、新型コロナウイルスの影響を受けた企業が多く、収益性が低下したケースが見られる。実店舗は苦戦傾向だったが、その一方でECビジネスは概して好調な推移だった。

新型コロナウイルスの発生がマイナス要因

主要上場アパレル企業7社、 2019年度業績一覧(表1)

主要上場アパレル企業7社、
2019年度業績一覧(表1)

今回対象にした7社は、オンワードホールディングス、TSIホールディングス、アダストリア、三陽商会、レナウン、バロックジャパンリミテッド、パルグループホールディングス(順不同)。うち、三陽商会、レナウン、バロックジャパンリミテッドの3社は決算期の移行時期に該当するため、純然たる前年比がない。決算数値も暫定的である点に留意されたい(表1、表2を参照)。

7社のうち、増収を達成したのはオンワードHD、TSI HD、パルグループHDの3社。期末(1-2月)に発生した新型コロナウイルスが影響したため、伸び率も1ケタ台前半に止まった。増益を達成したのはアダストリア、パルグループHDの2社。損失計上はオンワードHD、三陽商会、レナウンの3社。全般的に厳しい業績結果となった(表1を参照)。

オンワードHDは、減損損失の発生や繰延税金資産の取り崩しなどが影響し、当期純損失521億3,500万円を計上するに至った。グループの主力、オンワード樫山の売り上げは上期に3.1%減だったが、下期は10.6%減と下げ幅が拡大した。海外アパレル事業では、アジアが増益、北米が増収と健闘した地域もあった。主力のレディスブランド「23区」は売上高266億3,100万円(1.1%減)と踏みとどまった。ファミリー向けブランド「エニィファム」が同66億5,000万円(1.7%増)と健闘した(表3を参照)。EC売上は333億800万円(30.6%増)と2ケタの増収だった。今期は不採算店舗を閉鎖し、収益性の改善を早急に進める。

【参考資料】旧決算期の実績 (三陽商会、レナウン、バロックジャパンリミテッド)(表2)

【参考資料】旧決算期の実績
(三陽商会、レナウン、バロックジャパンリミテッド)(表2)

TSIホールディングスは増収したが、大幅な減益となった。コロナウイルスの影響が2月から表われた。ゴールデンウイーク明けまで、約60%の店舗を休業措置にしている。既存事業が前期比97.7%と伸び悩んだため、在庫の消化を優先。その余波で利益率が低下した。「nano・universe」や「NATURAL BEAUTY BASIC」など、売上規模の大きい主力ブランドが苦戦した。ゴルフウエアブランドの「パーリーゲイツ」は売上高125億8,200万円(3.4%増)と堅調な推移だった。販路別では「百貨店」が同213億9,300万円(15.1%減)と2ケタの減収。「非百貨店」(ファッションビル、駅ビル、路面店、アウトレット等)は同860億2,800万円(7.3%増)と健闘した。

アダストリア、パルは増益を達成

各社 部門別・セグメント別 売上高(表3)

各社 部門別・セグメント別
売上高(表3)

アダストリアは微減収・増益と健闘を見せた。値引き販売の抑制、在庫コントロールが功を奏し、営業利益および経常利益が大幅に増加した。売上総利益率(粗利率)が55.5%(1.6ポイント増)と改善。販管費率も49.7%(1ポイント減)と削減された。主力ブランドである「グローバルワーク」が売上高417億1,000万円(2.1%増)、「ニコアンド」が同320億1,700万円(3.4%増)、「ローリーズファーム」が同236億9,100万円(5.3%増)と堅調に推移した。2番手グループの「スタディオクリップ」(5.1%減)や「レプシィム」(3.2%減)、「ジーナシス」(3.6%減)は苦戦した。

新規ブランドの1つとして展開を進めている「ベイフロー」は、同98億5,200万円(12.2%増)と順調に規模が拡大している。また中期的には、“次世代大人市場”向けのコンテンツを開発。顧客の「LTV」(Life Time Value=顧客生涯価値)の最大化を目指す。今春からスタートした新規ブランド「Elura」(エルーラ)はその取り組みの1つだ。一方、国内のECビジネスは、同436億円(7.6%増)と成長を続けている。国内事業は健闘しているが、海外ビジネスは苦戦傾向にある。「台湾」「米国」を除く地域(香港、中国、韓国)は苦戦が続いている。

パルグループホールディングスは、増収増益を達成、過去最高益を更新した。自社のECサイト「PALCLOSET」がけん引役になった。販管費率が低下し、粗利率が改善したことで、利益が増加した。4週間ごとのMDの精度を高め、在庫管理を徹底したことにより、期中のマークダウンが減少したことが、収益性の改善につながった。ECサイト「PALCLOSET」の売上高は41億6,800万円(41.2%増)と好調な推移。「ZOZO TOWN」は、期中の体制変更の影響で売り上げが下がったが、同113億4,000万円(10.2%増)と2ケタの増収だった。全社のEC売上は同175億9,100万円(15.5%増)となった。

三陽商会は2カ年の「再生プラン」を策定、売上目標550億円・営業利益15億円

アダストリア、40−50代女性を対象にした 新ブランド「Elura」

アダストリア、40−50代女性を対象にした
新ブランド「Elura」

三陽商会は減収・損失計上と厳しい業績結果だった。コロナウイルスの影響で在庫処分が増え、利益を圧迫した。安定した収益体制を再構築するべく、2カ年の「再生プラン」を策定している。コロナウイルスの影響を加味し、2年後の2022年2月期(2021年度)には連結で売上高550億円、粗利率50.9%、営業利益15億円、EBITDA(利払前税引前減価償却前利益)25億3,000万円という目標数値を設定した。「不採算店舗・売り場の撤退による販管費削減、調達原価の低減、不採算事業の抜本改善、組織のスリム化」などが主な取り組み課題だ。主力販路の百貨店では、効率を重視して展開店舗を選別する。また直営店の拡大にも力を入れる。ECのプロパー売りの拡大、アウトレットの活用など、ブランドビジネスの基礎を再強化する内容だ。

さらに組織構造改革では、1つの「事業本部」体制の下で各ブランドやビジネスを一元管理する。従来の「本部」は13から6へスリム化し、執行役員は15から11人に減らす。指揮命令系統を明確化し、短期での収益性回復へ向けた体制を整える。人事制度面では、業績結果と連動した評価制度へ移行する。販売員に対しては、プロパー販売に対する評価を重視する基準に改める。

バロックジャパンリミテッドは決算期移行時期に該当するため、純然たる前年比がない。参考数値として、前年同期比の増減率を開示している。それによると、連結売上高は2.8%減、営業利益は8.7%減、経常利益は6.3%減である。国内事業は新規ブランドやショッピングセンター向けブランドが健闘したものの、暖冬やインバウンド減などの影響もあり1.4%減となった(前年同期比の増減率)。「セレクトショップ・百貨店ブランド」は売上高57億2,700万円(4.4%増)と堅調だった。「海外」ビジネスは同80億9,900万円(8.0%減)と苦戦した。EC売上(単体)は77億8,700万円で、売上比率は13.2%。

レナウンは決算移行期のため、10カ月間の変則決算。販路では、百貨店が95%と伸び悩んだ。量販店は99%、レディスは102%。ショッピングセンターは98%、アウトレットは94%だった(10カ月間の前年同期比)。主力ブランドの「ダーバン」や「アクアスキュータム」が苦戦した。レディスは「エレメントオブシンプルライフ」が売上高23億9,700万円(2.7%増)と堅調な推移だった。                                 

(樋口尚平)

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