国内主要上場アパレル企業6社、2018年度決算まとめ
各社で格差が表れる
update: 2019/06/20
国内の主要な上場アパレル企業6社の2018年度決算をまとめた。ワールドを除く5社が2月期決算で、バロックジャパンリミテッドは当期から決算期を1月期から2月期へ変更した。ワールドのみ、3月期決算である。利益を確保した企業と、苦戦を強いられた企業が混在する結果で、各社で業績に格差が表れた。
増収増益はワールド、TSIホールディングスの2社
対象とした企業は、ワールド、オンワードホールディングス、アダストリア、TSIホールディングス、レナウン、バロックジャパンリミテッドの6社。いずれも本決算の業績結果を基にした。天災や猛暑、暖冬など、例年になく自然・天候の影響が大きかった2018年度だが、うまく乗り切った企業と苦戦を強いられた企業との差が明確になった。
増収を達成したのは2社。増益は3社。増収増益はワールドとTSIの2社だが、TSIは当期損益で損失を計上している。バロックジャパンリミテッドは決算期変更途上のため、純然たる前年比がない。前年度決算=1月期の実績を併載しているので参考にされたい(表1を参照)。
ワールドは再上場を果たしてから初の本決算。売上収益は2,498億6,100万円(1.6%増)と堅調な推移だった。M&A効果もあり、7期ぶりに増収を達成した。売上高総利益率(粗利率)は低下したが、販管費率も下がったこともあり、営業利益は148億2,700万円(12.1%増)と増益を達成した。主力の「ブランド事業」は増収減益の結果。国内アパレルブランドの不振が影響した。
オンワードホールディングスの売上高は2,406億5,200万円(1.0%減)。国内のリアル店舗が苦戦したが、ECは238億4,500万円(25.9%増)と好調に推移した。海外事業が苦戦傾向だった。利益も伸び悩み、減益の結果となった。今期から、新しい中期3カ年計画を策定している。3年後には、売上高2,800億円、営業利益100億円、ROE5%、EC比率15%、海外売上比率25%という目標を掲げている。
アダストリアの売上高は2,226億6,400万円(0.1%減)で微減収だった。下期は健闘したが、上期の苦戦が影響した形だ。主力ブランドは健闘した。「グローバルワーク」は408億7,100万円(1.8%増)、「ニコアンド」は309億5,600万円(9.0%増)と2ケタ近い増収で、1年を通して好調に推移した。新規ブランドで多店舗化が進んでいる「ベイフロー」は、87億8,300万円(11.1%増)と順調だった。
レナウンの売上高は636億6,400万円(4.1%減)と減収。営業損益は25億円の損失だった。減収、損失計上と厳しい決算だった。前年度の黒字計上から一転して、赤字に転落した。主力チャネルである百貨店が前期比91%と苦戦した。量販店は99%と健闘した。
バロックジャパンリミテッドの売上高は710億3,400万円で、対計画比1.5%の減収。前期と同じ期間(2月-1月の12カ月)の比較では、0.3%減とほぼ前年並みの推移だった。秋冬商戦の苦戦が影響し、既存店ベースの売上高が98%と伸び悩んだ。一方、「マウジー」「エンフォールド」「スタッカート」などのブランドは健闘した。海外ビジネスは中国の合弁事業が売上高77億2,000万円(7.7%減)と苦戦した。
(樋口尚平)