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島精機製作所、2019年3月期 連結決算
主力の横編機が苦戦、減収減益に

update: 2019/05/09

決算会見に臨む 島三博代表取締役社長

決算会見に臨む
島三博代表取締役社長

島精機製作所が5月8日に開示した2019年3月期の連結決算は、主力の横編機ビジネスが苦戦し、減収減益に至った。バングラデシュの販売不振、スポーツシューズ向けの売り上げの苦戦、トルコのリラ安による設備投資の抑制効果がマイナス要因となった。業績の不振を受け、中期経営計画の数値目標を下方修正した。

「ホールガーメント®」が好調に推移

2019年3月期 財務数値一覧(表1)

2019年3月期
財務数値一覧(表1)

連結売上高は513億円(28.5%減)と2ケタの減収となった。主力の横編機が苦戦し、売上高は388億円(34.6%減)と大きく落ち込んだ(表2を参照)。収益が低下した要因は大きく3つ。①バングラデシュの総選挙の影響で投資を手控える傾向が強まったこと、②スポーツシューズのニットアッパー向けの編機の販売が伸び悩んだこと、③トルコ通貨のリラ安の影響でユーザーの資金調達が困難になり、設備投資が鈍化したこと、が挙げられる。②では、丸編み機や中国製の廉価な横編機の参入が増え、競合が激化した影響が大きかった。

一方、「ホールガーメント®」の横編機は1,521台(440台増)と販売台数が増加した。売り上げの内訳は、中国が50%、ベトナムが20%、日本・韓国・イタリアがそれぞれ10%ずつ。付加価値を求めるアパレル企業からのニーズが引き続き増えており、今後も「ホールガーメント®」を強化する方針だ。なお、編機全体の販売台数は、7,950台(7,895台の減少)だった。

2019年3月期 事業別売上高(表2)

2019年3月期
事業別売上高(表2)


部門別では、主力の「横編機」が売上高388億600万円(34.6%減)と苦戦した。「デザインシステム関連」は43億8,000万円(11.3%増)と2ケタの増収を達成した。自動裁断機「P-CAM」が国内外共に販売を伸ばした。特に日本ビジネスでは、資材向けの伸びが良かった。「手袋靴下関連」は15億円(34.5%減)だった(表2を参照)。

ソリューション事業の拡大も強化ポイント

「中期経営計画」 修正数値(表3)

「中期経営計画」
修正数値(表3)

同社は前期の決算発表の際、2020年度(2021年3月期)を最終年度とする新しい中期3カ年計画「Ever Onward 2020」を発表したが、当期業績の不振を受け、最終年度の数値見通しを下方修正している。2020年度に売上高650億円、営業利益100億円、経常利益100億円、当期純利益70億円の目標に改めた(表3を参照)。

財務面は、引き続き良好な状態だ。売上減により、商品回転率や交差比率が悪化するなど、効率性指標は低下したが、流動性指標は安定している。手元流動性資金は増加しており、同比率も改善している(表1を参照)。

島三博代表取締役社長は、昨今のアパレル市場について、「大量生産・大量消費から、適時適品の生産体制に移行しつつある過渡期」だと分析している。「大きなビジネスモデルの転換もあり得るのでは?」と予測しており、より顧客の細かい要望に対応できる「ホールガーメント®」の需要が拡大すると見ている。加えて、ソフト面──ソリューション事業の拡大も強化ポイントに掲げる。編機販売に加え、顧客のビジネスモデルの変化に即したサービス面の提供にも今後、力を入れる方針だ。

通期の業績は、連結売上高523億円(1.8%増)、営業利益40億円(13.8%減)、経常利益44億円(11.9%減)で、増収減益の見通し。ユーザーの生産調整により、原価増の傾向になると予測している。

(樋口尚平)

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