大阪・梅田の商業施設「LUCUA 1100」(ルクア イーレ)がオープン
総面積5万3,000㎡、2館体制で発信力を強化
update: 2015/04/01
JR西日本SC開発(大阪市北区)が開発・運営する商業施設「LUCUA 1100」(ルクア イーレ)が4月2日、グランドオープンする。店舗面積は約3万3,000㎡で、既存の本館と併せると総面積は5万3,000㎡に拡大する。20代女性を中心にファッションを軸にする本館と異なり、「LUCUA 1100」は30-40代の年齢層を対象にしており、2館体制で幅広い客層を取り込む。
百貨店「isetan」と融合した売り場
「LUCUA 1100」の最大の特徴は、核テナントとして入店する百貨店「isetan」との融合だ。JR西日本SC開発の山口正人代表取締役社長も「専門店と百貨店を融合させ、両方のMDを境目なく見ていただける」とその相乗効果に期待を寄せる。
20代女性を主体にした既存館「ルクア大阪」とは異なる客層を対象に、2館体制で集客が図れる品揃えを考慮した。3月30日、グランドオープンに先駆けて開催された内覧会でいち早く売り場を披露した「ルクア イーレ」だが、“大人のファッションやライフスタイル”を切り口にしたショップが主力を占める。ペデストリアンデッキ(歩道橋)で連絡し数分の距離にある「グランフロント大阪」はファミリー層が多いと言われるが、少し感度を高めてファッション好きの大人にも満足してもらえるようなショップ構成で、住み分けを図っている。
「isetan」売り場は計8つのショップを出店した。大きく「食品・雑貨・ファッションの強みを残した」(ジェイアール西日本伊勢丹、瀬良知也 代表取締役社長)めりはりのある展開だ。東京・新宿店のMD、ノウハウを活かしているという。「売り場には、伊勢丹のかつての面影はない」(瀬良社長)と言うが、専門店と百貨店を融合させることをコンセプトの1つにしている「ルクア イーレ」のフロア構築としては、うまく行ったと見るべきだろう。
入りやすいフロアに留意
「ルクア イーレ」の売り場を構成するに当たり、最も気を使った点が入店しやすさ。「百貨店の敷居が高すぎたのかも知れない。まずは入店してもらえるよう特に気を使った」(山口社長)という。伊勢丹の自主編集売り場には「isetan」の文字が掲げられているが、周辺のショップと違和感がないよう、色目なども考慮されている。
初年度の売上目標は2館併せて770億円。既存館の実績が346億円と言うから、424億円を「ルクア イーレ」で目指すことになる。売上目標が高めと見る向きもある。しかし、ルクアと伊勢丹のカード会員を今後も増やす方針だと言うし、梅田地区の集客力が増強されることは間違いない。グランドオープン後の推移がどうなるか、「正直、予測が難しい面がある」(山口社長)と語る。オープン景気が収まった後、すこし長い期間で見極める必要があるだろう。「スタートダッシュがうまく行くよう、事前のプロモーションには力を入れてきた」(同)。
ジェイアール西日本伊勢丹としても新たなチャレンジになる。「ショッピングモールの中に百貨店が入り、新たなビジネスモデルを作るというケースはここだけでは? 退路は断たれているので、すべてのショップがうまく行ってほしいと思う。各ショップが独り立ちして、ほかの店舗へ拡大できるようにしたい」(瀬良社長)と抱負を語った。
(樋口尚平)