H&Mグループ
「WEEKDAY」「MONKI」が日本初出店
集客力の高い“大阪”の地に期待感
update: 2013/05/31
H&M(へネス・アンド・マウリッツ)グループの新業態店舗「WEEKDAY」(ウィークデイ)と「MONKI」(モンキ)が6月1日、大阪・心斎橋にオープンする。「WEEKDAY」はアジア地域初、「MONKI」は国内初出店。今春まで「H&M」戎橋2号店があった建物を改装し、地階と地上1階に「MONKI」が、地上2-3階に「WEEKDAY」がそれぞれオープンする。
「WEEKDAY」――デニム主体のセレクトショップ
「WEEKDAY」は2000年にスウェーデン・ストックホルムで誕生したセレクトショップが前身で当初、週末だけオープンしていたことから「WEEKEND」の名前が付けられていた。その後、市街地に場所を移し、店名も「WEEKDAY」に改めて毎日オープンするようになった。ビンテージやデニムのアイテムが特徴で、2004年に立ち上げた「CHEAP MONDAY」もデニムを主体にしたブランド。現在は自社品のほか、セレクトを加えた10数のブランドで売り場を構成する。欧州6カ国に21店舗を展開中。日本、アジアには初出店だ。
地上2-3階の2フロアで展開する「WEEKDAY」の売り場面積は約450㎡。既存店は大体200-1,000㎡の広さで、心斎橋の店舗は平均的な規模と言える。幅広い客層と集客力の高さなど「立地条件が良かったため」(Karin Hagman、カリン・ハーグマン 広報担当)、大阪に出店を決めたという。2店目以降は魅力的な立地を探したいそうだが、「当面は大阪の店舗に集中したい」(同)という。ちなみにメディアから最も多かった質問が、この出店計画についてだったという。
フロア構成は、2階がウイメンズ関連、3階がメンズ関連。両フロアとも、強みのデニムを使用したジャケットやジーンズなどの商材が多い。アースカラー系の落ち着いた色目が特徴で、ビビッド色は少ない。メーンの「WEEKDAY」ブランドは「H&M」とほぼ上代価格が同じらしいが、各ブランドによって幅がある。
「MONKI」――日本やアジアに触発されたストリートファッション
「MONKI」は2006年、スウェーデン・ヨーテボリで設立されたファッションブランドで、日本やアジアのストリートファッションに影響を受けている。日本初出店に際し大阪の地を選んだのは、「店舗条件が良かったこと」(CHRISTOFFER MELIN、クリストファー・メリン アジアセールスマネジャー)のほかに、スウェーデンの首都・ストックホルムではなく地方都市のヨーテボリ出身であることも背景にある。大阪のストリートファッションに共鳴する面もあったようだ。欧州7カ国のほか中国本土や香港などに60店以上を出店する。日本は今回の大阪店が初展開。
フロア面積は2層併せて約300㎡。既存店では平均200-350㎡の規模だという。「MONKI」はレディス向け商材のみで、「WEEKDAY」のようにフロアで明確な違いは出していない。シーズンごとに4-5のテーマに沿って商品をデザインするという。色目にめりはりがあり、「WEEKDAY」とはテイストが対照的だ。価格は「H&M」グループに入る以前から、「若い人にも買いやすい設定にしてきた」(Annika Urbansdotter、アニカ・アーバンスドッター ファッションディレクター)。
品揃えはベーシック品からトレンドを意識したものまで幅広い。国ごとに品揃えを変えているという。レディス主体だが、メンズが着られるアイテムもあるそうだ。現時点で、「メンズコレクションを作る計画はない」(同)という。
グループのシナジー狙い、出店計画は独立独歩
両ブランド共に日本初出店は「H&M」と通りを挟んだ対面に店舗を構えたが、2店目以降は1号店のような「H&M」に近い立地に出店することにはこだわらないという。同グループの傘下に入る前と方針は変わらず、独立独歩で出店計画を進める。
しかし「WEEKDAY」では、生産においてH&Mの契約工場を使用している。「MONKI」も同様に物流網を活用しているし、また「H&M」の企画した商材もあるという。グループ企業としての相乗効果を追求し共存共栄を図ろうとする姿勢は共通している。
また、両ブランドの担当者が異口同音に語っていたことが、「H&Mグループのブランドはそれぞれ個性のある家族のような存在」という点だ。同じ食卓を囲むように企画や生産、物流網など共有できるところで効率化を図り、職場や学校のようにそれぞれの活躍の場で個性を発揮する、という経営理念だと思われる。
(樋口 尚平)