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ワールド 2013年3月期 連結決算
増収するも効率悪化で減益に
下期は利益面が改善

update: 2013/05/15

ワールドの2013年3月期連結決算は、売上高3,364億8,000億円(2.0%増)、経常利益40億9,400万円(55.9%減)の増収減益となった。売上原価の増加で売上総利益が減少した。当期純利益は7億3,600万円の損失。品目別では婦人服、紳士服、業態別では、「ストア業態」が好調に推移した。

婦人服、紳士服、服飾装身具が健闘

上期(第2四半期)の天候不順や値引きロス・機会ロスの発生が下期まで影響を及ぼした。下期は、売上高1,780億円(0.9%減)、営業利益95億円(10.0%増)、当期純利益32億円(30.1%増)と回復したが、前半の落ち込みをカバーし切れなかった。

品目別では婦人服、紳士服、服飾装身具が好調に推移した。婦人服では「グローブ」(12.3%増)、「シューラルー」(20.6%増)などが増収。紳士服では「THE SHOP TK ミクスパイス」(10.1%増)、「タケオキクチ」(4.0%増)などが好調だった。

業態別では「百貨店SPA」業態が微増収。健闘したブランドは、レディスの「アンタイトル」(2.5%増)、「インディヴィ」(1.8%減)、「クードシャンス」(5.7%減)は残暑の影響やセール時期の分散、秋物商戦が低調だったため苦戦した。「リフレクト」(5.8%増)は堅調だった。メンズでは売り上げの50%を占める「タケオキクチ」が健闘した。クリエイティブディレクターに菊池武夫氏が復帰し、旗艦店の出店などブランド観を確立したことがプラスに働いたようだ。

「バイイングSPA」(旧称、高感度型バイイングSPA)業態は、主力の「アクアガール」(11.3%減)が苦戦した。路面店は好調だったが、駅ビルチャネルで伸び悩んだ。「ドレステリア」(5.6%増)、「アナトリエ」(6.9%増)と堅調に推移した。

「BCOM」業態では、「グローブ」が引き続き12.3%増と好調を持続している。「インデックス」(4.9%増)が編集ブランドの刷新とオリジナルブランド「インデックス」の開発により復調した。リブランディングを実施した「オゾック」(0.7%増)は微増。

「FCOM」業態はほぼ横ばいの推移だった。主力の「ハッシュアッシュ」(3.4%減)、「サンカンシオン」(0.3%減)がやや低調だった。メンズの「THE SHOP TK ミクスパイス」は2ケタ増。メンズカジュアルを軸にし、レディスやキッズを絡めた展開が支持を集めた。

ストア業態は2ケタの増収。「フラクサス」(4.0%増)、「シューラルー」、「オペークドットクリップ」(29.9%増)などが貢献した。また、雑貨の「ヒロコハヤシ」が6.6%増と健闘。「ココシュニック」(12.0%増)は2ケタ増だった。Eコマースの「ワールドオンラインストア」は34.7%増と引き続き好調に推移した。卸業態は減収。取引店舗数は45店減の3,277店となった。

今期は再度、値引きロス・機会ロスの軽減に注力

今期は昨年上期の経験を踏まえ再度、値引きロス・機会ロス(欠品ロス)の軽減に力を入れる。売上総利益が減少した大きな要因が値引きロス・機会ロスのため、製販バランスの精度向上に取り組む。

重点的に投資する先は、「百貨店を中心としたミドルアッパーとショッピングセンターのミドルロワー」(寺井秀藏代表取締役社長)。また、これら2つの中間層に当たる「『オペークドットクリップ』などへの投資も進める」(同)という。

客単価および客数が増加しているほか、大都市圏のチャネルも回復基調にある同社。定借の退店が一段落した今後は、新規の物件を中心に出店を継続するという。急速に進んでいる円安の影響は今秋以降に表れてくると予測。川上から川下までの一気通貫の中で、コストダウンに努力する。

財務面では、効率性指標が売上総利益率・商品回転率の低下でやや悪化した。自己資本が減少したため、その回転率は上がっている。流動性指標に課題を抱えている。有利子負債が979億2,600万円(0.2%増)と微増しているため、金利の負担率も増加している。D/Eレシオも3.49倍と依然、高い水準にある。純損失を計上した影響で、ROEがマイナスになった。

(樋口 尚平)

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