シキボウ、ユニチカトレーディングが素材の合同展を開催
update: 2021/12/09
《展示会レポート》
シキボウとユニチカトレーディングが協業し、初めての素材の合同展を開催している。12月8-10日は大阪、12月15-17日は東京を会場に両社の素材を提案する。2社の技術や素材を組み合わせて開発した新しい機能素材も登場した。
相乗効果を期待、効率化や業容の拡大を目指す
この合同展は今年4月6日に公表した両社の「繊維事業における企業間ビジネス連携」に基づいている。ユニチカトレーディング(ユニトレ)がシキボウに対し、「液体アンモニア加工」を使いたいと話を持ちかけたことが発端。コロナ禍で満足に商談ができない状況も大きなきっかけになったという。共同で開発に取り組むうちに、互いの得意分野を活かした新しい素材の可能性に気付いた面もあった。
最初に両社が協業して開発した新しい素材は、ユニトレの「パルパー®」とシキボウの「アゼック®」を組み合わせたもの。芯鞘構造糸の「パルパー」を「アゼック」織りで製作した。合同展の開催は初めてということもあり、「現段階でできることを提案する」(ユニチカトレーディング、渡辺巧 取締役衣料繊維事業本部長)ことが目的だった。しかし前述した「パルパー」と「アゼック」の新素材など、「これほど早く形になるとは思わなかった」(シキボウ、尾﨑友寿 執行役員繊維部門営業第二部長)面もあり、手応えを感じているようだ。
合同展のテーマは「二重奏」。協業により、新しい価値観の創造を目指す。展示会場は大きく4つのカテゴリーに分けられており、それぞれの目的に合わせた機能素材を集約して見やすいよう工夫している。1つは「高機能性快適素材」のグループ。「アゼック」「パルパー」のほか、ユニトレの遮熱素材「コカゲマックス™」やシキボウの「コットライブ®」などを提案する。
2つ目は「高機能性安全素材」。シキボウの「フルテクト®」やユニトレの「ハイグラ」などをラインナップした。3つ目は「環境配慮型商品」で、シキボウのリサイクル素材「彩生」(サイセイ)やユニトレのバイオマス素材「キャストロン®」などを提案。4つ目は「新企画製品の提案」で、ユニトレの高収縮ポリエステル「ゼログ®」、シキボウの抗ピリング糸「ドラゴンツイスト®」などを提案する。
素材の販売は交通整理して混乱がないように心がけるが、ケースバイケースで他社製品品を顧客へ販売する事もあり得るという。生産ロットが確保しやすい、運営上の効率化、共同仕入れによるコスト削減など、期待できる相乗効果は複数ありそうだ。
(樋口尚平)