グンゼ、廣地社長──2020年方針
中期計画の最終年度、数値目標の達成を目指す
update: 2020/01/01
《企業レポート》
グンゼの廣地厚 代表取締役社長は2020年の経営方針について、中期経営計画「CAN20」の最終年度に当たる2020年度の数値目標(売上高1,500億円、営業利益80億円、ROE5%)を達成すると同時に、5つの取り組み事案──①売上伸長、②生産革新、③働き方改革の深化、④資本コスト経営、⑤CSV経営、を公表した。
投資効果の判断基準を明確化
2020年度は同社の中期経営計画「CAN20」の第2フェーズで、最終年に該当する。同中計では数値目標として、売上高1,500億円、営業利益80億円、ROE5%を掲げている。2019年は消費増税などの影響で消費マインドが低く推移したと分析。アパレルビジネスの回復が遅れているが、今年はオリンピック景気などの後押しで、業績は上向くと考えている。
今年の重点的な経営方針として、5つの取り組み事案──①売上伸長、②生産革新、③働き方改革の深化、④資本コスト経営、⑤CSV経営、を定めた。①の売上伸長は文字通り、業容の拡大を意味する。既存事業に加え、メディカルなど新規事業の創出、促進にも力を入れる。
生産革新では、生産性の向上やコスト削減、IT環境の整備などにより次世代の“技術立社”を目指す取り組み「NExT 運動」を継続し、生産現場の体質改善を推し進める。③の働き方改革の深化では、労働時間の短縮にとどまらず、業務の効率化や人材育成などにも積極的に取り組む。
4番目の「資本コスト経営」は、いわゆる“費用対効果”を数値化して、効率的な投資を促す取り組みだ。自社独自の評価基準「GVA」(GUNZE Value Added)を指標とし、「税引後利益(当期純利益)から投下資本使用に伴う資本コスト」を控除した数値を用いて、“経済的付加価値”を表す。アパレルカンパニーなど、社内の各事業部において、全社のROE的な数値を算出し、効率の良い投資活動につなげる狙いがある。「当社はROEが低いという指摘をよく受ける。利益体質に改善していく必要がある。利益を上げるか、投下資本を絞るのか──各事業で精査する必要がある」(廣地社長)と考えている。
最後のCSV経営は、サステナビリティを意識した取り組みの強化だ。プラスチックの使い方など、環境を配慮した取り組みも含まれている。それに合わせて同社は2019年12月24日に、「プラスチック資源循環基本方針」を制定し、その内容を公表した。いわゆる「3R」(リユース、リデュース、サイクル)に加え、「Renewable」(リニューアブル)の方針を掲げた。
今期中に“次期”中計の中身を策定
主力事業の1つ、アパレルビジネスでは、メンズの主力ブランド「ボディワイルド」の新製品インナー「エアーズ」が好調を持続している。2018年7月の発売後、昨年で累計の売上枚数が120万枚を突破した。そのほか、Tシャツの下に着る「インティー」も販売目標を上回っている。「アディダス」など、スポーツ系ブランドのライセンス品の推移も好調だ。
今年は次の新しい中期経営計画を策定する時期だ。具体的な数値目標や取り組み内容についての言及はないが、「3-4年の中期計画になる見通し」(廣地社長)だ。変化が激しい市況を鑑み、新しい経営計画の策定に取り掛かる。
(樋口尚平)