第9回タイ国ファッション&テキスタイル製品展示商談会in大阪
update: 2019/07/16
《展示会レポート》
第9回タイ国ファッション&テキスタイル製品展示商談会in大阪(主催、タイ国政府商務省国際貿易振興局=DITP)が7月9-10日の2日間、大阪マーチャンダイズマート(OMM)で開催され、2日間で約300人が会場を訪れた。今回は特に、サステイナビリティー(持続可能性)を意識した環境対応の素材などに焦点を当てた提案を行った。
中期的に市況は回復基調と予測
今回、同商談会に出展したのは44社。テキスタイル関連企業が14社、アパレル関連が14社、アクセサリー関連が16社だ。うち約70%の企業が継続して出展している。年に1回、この時期に開催されている。テキスタイルやアパレルが主体だが、アクセサリーなど異なるアイテムへの展開にも力を入れている。
第9回目を迎えた同商談会では、エコ意識や環境保護につながる織物素材を重点的に提案した。肌に優しい素材や、着心地を求めるスポーツウエア向けの素材などだ。また、天然染料を使用し、環境保全を意識した素材も併せて提案した。
主催者であるタイ国政府商務省国際貿易振興局のバンジョンジット・アングスラシング局長は、「日本はタイ国にとって、質・量の両面で重要なビジネスパートナーだ。友好関係を築けていると思うし、嗜好性にも共通点がある」と指摘。「タイ国のアパレル関連企業は、夏用のスポーツウエアなどは得意分野。良い製品を日本市場へ提供できると考えている」と展示会への抱負を語った。
また、アングスラシング局長は昨今の市場動向について、「上期は米中の貿易摩擦やタイ国の選挙、ブレグジット等の影響もあり、少し停滞気味だったと思う。しかし今後、中期的には回復に向かうと予測している」という。
日本向けの輸出量は増加傾向
タイ国から日本向けのアパレル関連の輸出量については、増加傾向のようだ。昨年(2018年度)の日本への輸出量は、「2億3,600万米ドル(約259億6,000万円、1米ドル=110円で換算)で、2-3%増。タイ国にとって2番目に大きな市場」(タイ国繊維工業連盟、ユッタナー・シンサンウィッ氏)だった。反対に、日本からタイ国への輸出も19%増と順調に伸びしているという。
タイ国から日本へ輸出されるアパレル商材の内訳は、ストレッチ性を伴ったニット関連製品が多いようだ。素材ではポリエステル関連で、スポーツ系のアイテムが増加傾向にある。世界的に、ファッションシーンへスポーツテイストを採り入れる傾向があるため、日本市場向けの商材もこうしたテイストの物が増えているようだ。
環境配慮型の素材は、「今後の成長が見込める」(シンサンウィッ氏)と期待をかけている。天然素材系では、ココナッツやバンブー、ヘンプ、パイナップル、バナナなど、同国に豊富にある植物の、通常は廃棄される部分をアパレルなどの材料に活用する取り組みが進んでいる。生産量が少なく、コスト高である点が課題だが、「従来品に比べ、品質や強度は見劣りしない。加工に手間がかかりコスト高になが、すでに欧州市場では採用事例が増えてきている」(同氏)という。
(樋口尚平)