15764人が来場
国際アパレルマシンショー(JIAM)2012
展示会レビュー
update: 2012/09/28
9月19~22日まで、大阪南港のインテックス大阪で国際アパレルマシンショー(JIAM)が開催された。開催規模は海外 16 カ国・地域 63 社を含めて出展社数 208 社、1034.6 小間。4日間の来場者数は合計で15,764人だった。 各ブース内で積極的な新製品の発表が行われたので、それぞれ紹介したい。
レクトラ・ジャパン
レクトラ・ジャパンは自動裁断ソリューション、「Vector」の最新モデルを発表した。従来の裁断機よりもさらにロス率を低下させたもので、タッチパネルの導入により操作性を向上させた。このほかに自動重ね枚数検出機能やブレード(刃)破壊検出機能なども装備されえており、より安全性を高めた設計となっている。搭載された120個のセンサーによって稼働状況をリアルタイムで把握することで、トラブルが起こる前に警告を発することができるようになっている。
同社のアンドレアス・A・キム社長も19日に来場し、現在の市場ついて、昨年後半から欧州経済危機がぼっ発し米国の景気も回復しておらず「リーマンショック直後以上に厳しい環境」と分析した。また、中国については「2005年には輸出7割・自国内向け3割というのが中国製造業だったが、現在では自国内向け7割・輸出3割となっている」とし、消費市場としての期待感をにじませた。
ヤマトミシン
ヤマトミシン製造は、今回、複数の新商品を発表した。その中でも、かん止めをせずにほつれない「UTQ」というソーイングマシンは目玉の一つだ。従来の同社ミシンにも後付け可能な装置で、Qフィニッシュという独特の形状をした仕上がりによって、かん止めなしでほつれない縫い目を実現した。
また、グループ会社のヤマトコーポレーションは、新型自動リンキングマシン「erbe」を発表した。これは見新タイプのリンキングマシンで、5~20ゲージのニットに対応できる。最大の特徴はループの真ん中に確実に糸を落とすことができ、リンキング後もニットの伸縮性を損なわない。
セミナー
期間中はさまざまなセミナーやシンポジウムが開催されたが、中でも9月20日のシンポジウム「今、なぜメード・イン・ジャパンなのか」は多数の聴講客が押し寄せ、立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。30分間の基調講演をメイカーズシャツ鎌倉の貞末良雄会長が行った後、久米繊維工業の久米信行社長の司会によるパネルディスカッションが行われた。出席者はカイハラの貝原良治会長、岩手モリヤの森奥信孝社長、メイカーズシャツ鎌倉の貞末良雄会長。この席上で、貞末会長は「売れる=売れ続けなくてはならない」という図式が出来上がっており、その対策が「在庫を積み上げることになっている」と指摘。しかし、それはモノ不足の時代のモデルであり、成熟社会に突入した現在は新しいビジネスモデルの構築が求められていると述べた。そして「メーシーズが年間11カ月セールを行っていることからわかるように、アメリカはすでに安売り社会になっており、衣料品の原価率は10%程度にまで低下している。価格競争を続ければ日本もこのようになる」と警鐘を鳴らした。
(ファッションライター 南 充浩)