TSIホールディングス、2018年2月期 連結決算
事業撤退や国内苦戦の影響で、減収・減益に
update: 2018/04/18
《財務分析レポート》
TSIホールディングスの2018年2月期の連結決算は、事業撤退や国内ビジネス、海外が苦戦した影響で、減収・減益となった。ECビジネスは好調だったが、減収分をカバーするに至らなかった。営業利益では、構造改革や引越、M&Aなど一時的な経費(10億円)の発生が影響した。
ECの売り上げが順調に伸びる
連結売上高は1,554億円(2.3%減)と1ケタ台前半の減収。営業利益は21億円(14.6%減)と2ケタの減益だった。一時的な経費(10億円)の発生が影響し、減益となったが、同経費を除いた営業利益は31億円で、前期比を上回るという。
既存店ベースの売上推移は、前年比0.8%増とほぼ横ばいだった。全店ベースでは2.8%減だった。期末の店舗数は、1,229店(出111、退220)。国内は1,052店(出63、退154)だった。海外も177店(出48、退66)と国内同様、退店数が上回った。
販路別の売上高は、「百貨店」が291億円(11.8%減)と2ケタの減収。主力の「非百貨店」(ファッションビル、駅ビル等)は765億円(2.9%減)とほぼ前年並みだった。「EC」が289億円(13.6%増)と好調に推移した(表2を参照)。EC化率は前年の16.0%から18.6%と増加した。
ブランド別の売上高は、主力の「ナノユニバース」が260億円(4.1%減)とやや苦戦した。「ナチュラルビューティーベーシック」は160億円(0.8%増)でほぼ前年並み。「マーガレット・ハウエル」は142億円(9.4%増)と好調な推移だった。最も伸びが大きかったのは「パーリーゲイツ」で、118億円(15.1%増)。「ローズバッド」は75億円(16.4%減)と2ケタの減収だった(表2を参照)。
製販の合理化、海外拡販を進める
今期(2019年2月期)の経営テーマは、“増収・増益・最高益”。「製販の合理化、自社ECの売上拡大、IT投資の加速、海外事業の成長」などが主な重要項目だ。国内の実店舗を主体としたアパレル関連の売り上げは今期も伸び悩むと予測している(当期1,163億円が当期1,133億円に)。
伸び代は、順調に成長しているECビジネスや海外事業。ECは今期332億円(14.9%増)と引き続き2ケタの増収を計画する。海外事業は、昨年12月に持分(株式)の90%を取得した「HUF Holdings,LLC」の増収に期待している。
財務内容は安定している。商品回転率が微減したが、流動性指標は安定した水準にある。通期の業績見通しは、連結売上高が1,600億円(2.9%増)、営業利益は32億円(47.5%増)、経常利益は45億円(18.8%増)で、増収・増益を目指す。
(樋口尚平)