ギャップ社、2018年1月期 連結決算
主力の米国が復調、増収・増益を達成
update: 2018/03/05
《財務分析レポート》
カジュアルウエアのThe Gap,Inc.(ギャップ社)の2018年1月期連結決算は、主力の米国ビジネスが復調したことで、増収・増益を達成した。欧州・アジア地域は苦戦した。業態別では、「Old Navy」が店舗数の増加もあり堅調に推移した。「Gap」業態は店舗数の減少も影響し、減収に至った。
「Old Navy」が主力の業態に
曜日配列の関係で、前年より6日間多い比較。連結売上高は、158億5,500万米ドル(約1兆7,757億6,000万円、1ドル=112円で換算)、2.2%増と堅調な推移だった。売上高総利益率(粗利率)は38.3%(2.0ポイント増)と改善した(表1を参照)。
営業利益は、粗利率の改善および販管費率が低く抑えられたこともあり、14億7,900万米ドル(約1,656億4,800万円、同)、24.2%増と増益を達成した。税引前利益は、14億2,400万米ドル(約1,594億8,800万円、同)、26.7%増と営業利益同様に2ケタの増益だった。当期純利益も8億4,800万米ドル(約949億7,600万円、同)、25.4%増と増益を達成した。
地域別では、前述の通り、連結売上高の80%を占める「U.S.」(米国。プエルトリコ、グアムを含む)が売上高125億6,800万米ドル(約1兆4,076億1,600万円、同)、4.8%増と復調してきた。「Canada」(カナダ)も同じく好調で、11億7,300万米ドル(約1,313億7,600万円、同)、8.2%増と増収を達成した。その半面、「Europe」は苦戦した。日本を含む「Asia」(アジア)も、12億6,300万米ドル(約1,414億5,600万円、同)、18.2%増と大きく落ち込んだ。
業態別では、「Old Navy」が主力に成長した。売上高は72億3,800万米ドル(約8,106億5,600万円、同)、6.2%増と順調な推移だった。「Gap」は53億1,800万米ドル(約5,956億1,600万円、同)、2.5%減と苦戦傾向だった。店舗の減少も影響したとみられる。「Banana Republic」は23億8,000万米ドル(約2,665億6,000万円、同)、3.7%減とやや低調だった。同業態も「Gap」同様、店舗数の調整が影響したようだ(表2を参照)。
期末の店舗数は、「Old Navy」が1,080店(第3四半期末対比で10店増)、「Gap」が1,278店(同23店減)、「Banana Republic」が621店(同23店減)。
財務面の大きな変動はない。商品回転率が微減したが、粗利率の改善で交差比率が増加した。自己資本比率がやや増加している。その影響で回転率が低下した。
(樋口尚平)